第15話 催眠誘導と深化3 感度

 読者の皆様は、人間の感度をどの程度と捉えていますか?


 スクールなどで催眠術を教わる時、


 『催眠術は自信を持ってしないと相手に伝わって失敗する。

  だから自信を持って堂々としましょう。』


 と教わります。


 その心は?


 被験者は誘導によってトランス状態になります。

 トランス状態というのはゾーンです。

 感覚が研ぎ澄まされるあれです。


 テニス選手なんかは20mも離れた対戦相手の動きを見ます。

 それもピクっていう筋肉の動き、重心の変化なんかを見極めるくらいの観察精度を出します。

 金属を扱う職人さんであれば機械でも検知できない金属疲労を検出したりします。

 全てがゾーンというわけではありませんが、人の感覚はとんでもない精度をもっています。



 催眠誘導が進むと被験者は催眠術師に集中することになります。

 ゾーンは中トランスですが、軽トランスであっても感覚が研ぎ澄まされていきます。

 どんどん感覚が研ぎ澄まされていきます。


 特に女性は観察眼が優れています。

 幼い頃から沢山の種類の視線やしぐさを経験し記憶しています。

 平時でさえ視線や表情に敏感なのが、さらに研ぎ澄まされていきます。


 催眠術師が被験者に性的な意識を持ったとします。

 ちょっとした声色、しぐさ、表情、すぐさま検知されます。


 あっと思われる間もなく無意識でブロックがかかります。

 当然、誘導は失敗します。


 例え胸元がバックリ開いても、スカートが短くても、片思いの相手でも、催眠術師は機械でなければいけません。

 被験者に楽しんでもらうために全力を注ぐことで、被験者の無意識に認められ、誘導を成立させることができます。


 この感覚が研ぎ澄まされる性質を利用することもできます。

 催眠術師がトランス状態で誘導すると被験者もトランス状態になりやすいです。


 私はあまり誘導が効きにくいのですが、それでも知っている催眠状態に切り替えて誘導すると、誘導の確率が上がります。

 (慣れたので軽トランスへの切り替えなら自分でできます)


 相手が楽しそうにしていると自分も楽しい。

 通常でも感覚を共有するように人間は作られています。

 トランス状態であればなおさらです。


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