転校生

 『今日は皆さんに転校生を紹介したいと思いまぁ〜す』


 ざわざわと周りの奴らがざわつき始める。


一番後ろの一人席。そこに座っている俺は結構驚いていた。この学校の2年生は全部でクラスが5つある。


 そんな中俺と同じクラスにあの小柄な女の子が入って来たからだ。


 昨日。あの後も屋上に2、3時間いた。とくに会話が弾むわけでもなく、余計に気まずくなることもなく。ただ振られてた余韻に浸りながら遠くの景色を眺めていた。


 流石に今からはみんなと合流できないな、となり、解散した。まぁ、クラスの奴らからしたら俺なんていてもいなくても同じなんだけどな。


 『では牧瀬さん自己紹介をお願いします』


 『は、はい!』 


 『わ、私は牧瀬ゆなと申しまふっ!』


 (あ、噛んだ)


 『前の学校では・・・』


 (あ、続けるんだ)


 『以上です』


 『はぁいありがとうございました。みんな仲良くしてあげてね』


 『うぉぉぉぉ!!メッチャ可愛いじゃん!』


 『な!まじモデルレベル』


 『席は?まじ俺のとなりの来い!頼むぅぅ!』


 こんなわけでクラスは大盛りあがり。俺は隅っこの席眺めているだけ。転校生と一日早く会って、少し仲良くなったからなんかしら起こるかなと思っていたがやはりそんなことはありえない。


 『席どうしましょうか』 


 どうせ牧瀬もクラスのリア充に飲み込まれて明日には俺の存在すら忘れているだろう。


 でもそれでいい。いつもどおりだ。なんにも悲しくないし悔しくもない。


 『せ、先生、席はあの一番後ろの彼の隣がいいです』


 『洋介くんですか?』


 『はい、彼とは知り合いなので』



 知り合い…か。他人のように無視されるよりかわ100倍マシだ。


 先生は俺の隣に席を運ぶと、牧瀬はとなりに座ってきた。


 それから数日たって牧瀬はこのクラスに馴染んできた。


 『何してるんですか?』 


 牧瀬は毎時間休み時間になると話しかけてきていた。どうして俺なんかにちょっかいかけるのだろう。


 クラスの嫌われものと仲良くしてたらお前まで評判が悪くなってしまう。


 『ただの勉強だ』


 『全然手が進んでないじゃないですか』


 『難しいんだよ』


 『見せてください』


 彼女は接近してくると俺の席に座り始めた。

 右半分に俺が座り、左半分に彼女が座る。


 『どこですか?』


 流石リア充ってとこか、顔ひとつ変えない。


 こんなことしたら俺じゃなきゃ勘違いしちゃうぞ。まったく。


 『ここだ』


 『あー難しいですね』


 『だから言っただろう』


 真横で彼女のさらさらできれいな白がかった青髪が揺れる。

 きれいだ。と思ってしまうのはあたりまえなんだと思う。


 『あれ?解けない??え?なんででしょう』


 『分からないのかよ』


 『たまたまですよ、いつもは解けます!』


 こいつといるとなんだか自分がリア充に感じてしまう。でもなんで俺なんかにちょっかいかけるのだろ俺なんかにちょっかいかけるのだろう。その疑問はまだ解けていない。


 俺は『牧瀬って以外にアホなんだな』


と言って彼女は『なわけないじゃないですか!』そう返す。だがこんな会話でも楽しいと思っている自分がいた。


 そんな中、クラス中の男子の冷たい目線がこっちを向いているとこなんて気が付かなかった。


 それ以上に見とれてしまうくらい彼女はきれいだった

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