第6話 重力に逆らう

1コマ目

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

記者「あなたは母子家庭で育ったということですが――」

A「はい。けれど、私は母の言うことは一切きかなかったんです。昔の言葉で言えば、ぐれていたんですよ」

――――――――――――――—————————―――――――――――――—


2コマ目

――――――――――――――――――――――――――――――――――――—

A「そのとき母は『お母さんには逆らってもいいけど、重力には逆らっちゃダメよ』と言ったんです。『重力はいつだってあなたを助けてくれるから』と。それ以降、私は重力にしたがって生きようと思ったんです」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


3コマ目

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

記者「しかしあなたが17歳のときに……」

A「はい、母は投身自殺をしました。重力が母を殺したのだと思いました。そのとき、生まれて初めて私は重力に逆らったのです」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


4コマ目

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

記者「それであなたは、浮くことができるようになった」

A「そうです。といっても、最近になって重力と和解して、地に足がつきました。このあいだ、重力と一緒に墓参りに行きましたよ。この記事を見ている人には、ときには重力に逆らうことがあってもいいんだよ、と伝えたいですね」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


                                  おわり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る