第9話
「はあっ!?」
再びレイラが舞踏会に行きたいと言うと、馬車の中からデネブが嫌そうな顔で大声を出す。
この頃、舞踏会が上手く行っていないせいか、機嫌が悪い3人。
(私だって・・・)
行きたくない、という言葉を飲み込むレイラ。昨日の女性の発言を信じて、舞踏会に連れていくように継母のマルガリータに申し出したけれど、言ってしまい後悔の波が押し寄せてくる。
申し訳なさそうにもじもじしているレイラを仁王立ちするマルガリータは見下ろした。
(ううん、これは自分が決めたこと・・・人のせいになんかしちゃいけない)
「お願いします、私を舞踏会に連れて行ってください!!」
もう一度、レイラは頭を下げる。
「お前なんかが来ても何も変わらないよ」
冷たく言い放つマルガリータ。
「いいえ、変わります」
いつになくキッパリ言うレイラに少し後退りするマルガリータ。
「だって私がいれば、2人が際立つでしょ。ねっ、ボロネーゼ、デネブ?」
レイラはマルガリータの後ろの馬車の中にいる異母妹に話しかける。
「いいんじゃない?王子様も私たちの魅力に気づかないんだし、インパクトが欲しいわ」
日に日にスタイルと、装飾品、化粧が増し増しになるデネブが暑そうにセンスをあおぎながら、マルガリータにおねだりする。
「私もいいと思うな。地味な子が傍にいれば私たちだって・・・」
鼻水をすすりながら、ボロネーゼもその奥から声をかける。
「くっ・・・・・・っ」
何かを恐れるマルガリータ。けれど、娘に何も言えない。
「そうよね!!きっと二人の魅力が際立つわっ!!」
「・・・この雌狐が・・・っ」」
マルガリータはぼそっと呟いたけえれど、もうそれ以上は抵抗しなかった。
何も言わずに馬車に乗り込み、いつもなら席の真ん中に座っていたマルガリータが奥につめて座っている。そこには一人分の座席があった。
(やったーーっ!!)
レイラは馬車に乗り込む。
中は暗かったけれど、レイラには初めての世界への入り口。ワクワクは抑えられず、顔はキラキラしていた。
「はいよっ」
馬車の運転手が合図を入れていくと馬が動き出していく。
いつもの罪悪感を抱えた顔ではなく、嬉しそうな顔をしていたけれど、その顔は4人には見えなかった。
「うわわわっ」
その揺れにびっくりするレイラ。
「「「ふふふっ」」」
勝ち誇ったように嘲笑するボロネーゼ、デネブ、マルガリータ。
(まぁ、乗れればもう私の勝ち・・・。わぁ、楽しみっ)
レイラは馬車からの景色を見ながら胸を躍らせていた。
しかし・・・レイラを待ち受けていたのは―――
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