第2話

 唯一の金髪のレイラ。

 風が吹くと、髪はなびきながらとてもきれいに光を反射させ、快晴とじゃれてくる風に心が躍ったレイラはニコっと笑う。すると、赤い唇から綺麗に並んだ白い歯が顔を出した。あまりにも綺麗で絵になる顔をしているのだけれど、服は茶番だ服でかなり地味。この姿を絵に書けと言われれば、あまりに服と顔の貧富の差が激しすぎて、違和感を持ってしまうかもしれないけれど、その地味な服がさらにレイラの美貌を強調させている。


「よいしょっと」


 レイラはたっぷりとため込んだ服たちが入った木のかごを両手で一生懸命抱える。デネブならいざ知らず、彼女の細い腕でそれを持ち上げるのはかなり大変なことだ。


「おっとっとっ・・」


 レイラは転びそうになり、何とかバランスを取ると左足でケンケンをして倒れそうになる。


「んーーーーっ、しょっ」


 何とか踏ん張って、レイラは達成感のある顔をして、急いで洗濯物を木でできた物干しに干していく。

 鼻水と汗とフケなどですぐに汚れて溜まってしまう洋服たちはたくさんあったけれど、手際のよいレイラはあっという間に全てを干した。


「よしっ、これで掃除をして・・・それから・・・」


「ああっ!!!!!」


 急にボロネーゼの声が聞こえたので、そちらを見るとボロネーゼの黄色スカートが破けてしまった。

 それをがははははっ、笑うデネブ。そして、面倒くさそうな顔で遠くから覗き込んで心配するマルガリータ。


「おいっ、デレラっ!!ちょっと、見ておやりっ!!」


「はーいっ」


 レイラは軽やかに二人のところへ向かっていく。その姿は妖精・・・。

 あぁ、そうそう妖精ってゴブリンとかも妖精って言うらしい。もちろん、彼女はかわいいみんなのイメージの方だけれど。


「大丈夫?」


「見てわかんないの!?大丈夫じゃないわよっ!!あぁ、特にお気に入りの服だったのに・・・」


 かなり大胆に破けている。

 引っかかってから大人しくしていれば良かったのに、我慢できずに引っ張ったせいだ。


「じゃあ・・・縫うわ」


 レイラは掃除の時間や食事の時間などをやりくりする算段を付けながら、ボロネーゼに提案した。


「えっ・・・できんの?」


 低目の声でデネブが尋ねる。


「お姉ちゃんに任せなさいっ!!・・・けほっけほっ」


 レイラは拳で胸をドンッと自分で叩くけれど、むせてしまって咳込む。そして、てへっとベロを出して笑って照れていた。


 泣き止んだボロネーゼと仁王立ちのデネブは半信半疑で異母姉のレイラを見ていた。

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