第39話 巫 女


【39日目 午後3時頃 シリトン市街地】



 この神器、どんなデザインコンセプトにしようかな〜。サーラさんに持たせるならやっぱクールビューティ的でスマートな感じに仕上げたいよね。そこは妥協できないなあ。


 これサーラ専用機ですよ。私が精魂込めて組み上げました。是非使ってくださいね? まあ嬉しい! ありがとう! 流石はアリス様ですね! なんてね。へへ。



 うおっ 神託! サーラさんか! 直ぐに出ますよ〜




……はいはい アリスですよ どうしまし

た?


……うんうん ちょっと待って リビング行くから……



 よしリビングだ。移動しながら神託再開



……ごめんね それで?


……分かった サーラさん姉妹と お父様とお話ししているうちに膠着状態になってしまった 


……お父様が興奮して全力ビンタを繰り出して来るので 身体強化を持っていない妹さんが危険っと 


……妹さん エミリー ラウラさんは サーラさんの手伝いを是非やりたいし アースにも行きたいと希望していると……



 ふむ。それでは神託を通じて恩恵を与える事ができるので今すぐに恩恵を与えるとともに、妹さん2人を使徒にーーああ。例のものが来たみたい。




……心の奥底 私のなかの神格がその望みを伝えてくる 


……使徒ではなく 今度は巫女が欲しいと 神として必要な手足 信者との架け橋 巫女が要る……





♢♢♢♢





……神託を通じて恩恵を授けていただけると アリス様ありがとうございます。


……はい 使徒じゃなくて巫女 アリス様の中の神様が巫女を求めていらっしゃる? 光栄な事です 是非お願いします 


……妹達には念話で説明しますので 少しお待ちを……




『エミリー、ラウラ聞いて。聞こえるよね。うん、大丈夫だね。

今アリス様と神託を使ってお話ししたんだけど、今すぐあなた達に恩恵を授けてくれるそうよ。

身体強化に防御ってあるからそれを使えばお父様の全力ビンタなんか痛くもないしびくともしないから。

そんで、使徒じゃなくて巫女ね。アリス様は巫女が欲しいんだって!』


『お姉ちゃん、今ステータス見たら恩恵授けられてる!防御も使えるよ』


『エミリーも恩恵が授かってるよ。大丈夫、防御使える』


『よし、アリス様に巫女にしていただくよ!』



……アリス様 妹達への恩恵無事授かってます 巫女の任命お願いします……


……了解しました 


……エミリー・ビアンコ並びにラウラ・ビアンコよ これから我が使命を果たす手助けをするなら幾ばくかの恩恵と名ばかりですが私の 巫女 を名乗ることを許しましょう



……アリス様 エミリー・ビアンコはアリス様の巫女になります


……アリス様 ラウラ・ビアンコはアリス様の巫女になります


……その願い聞き届けました エミリー・ビアンコ並びにラウラ・ビアンコよ あなた達を異世界の神である亜神アリスの巫女に任じます 亜神アリスの巫女として常に信者との架け橋となってくださいね


……そしてエミリー・ビアンコ並びにラウラ・ビアンコ


……貴方達を亜神アリスの名において 亜神アリス軍団士官候補生 に任命します

コミッションド・オフィサー見習いですが貴方達の指導官サーラ中尉の手伝いをしながら常に私アリスと共にいて欲しい


……以後は必要に応じて階級呼称を行うものとします……



名前 エミリー・ビアンコ 

種族 人(女性) 

年齢 18  体力G  魔力F

魔法 神楽5回復5睡眠5ステータス5

   暗視5遠視5隠密5浄化5結界5

   探知5魔法防御5念話5飛行5

   神託5

身体強化 筋力5持久力5衝撃耐性5

   睡眠耐性5麻痺耐性5毒耐性5

   反応速度5防御5

称号 ビアンコ男爵家2女

   亜神(時空)アリスの巫女長

   亜神アリス軍団士官候補生



名前 ラウラ・ビアンコ 

種族 人(女性) 

年齢 16  体力G  魔力F

魔法 神楽5回復5睡眠5ステータス5

   暗視5遠視5隠密5浄化5結界5

   探知5魔法防御5念話5飛行5

   神託5

身体強化 筋力5持久力5衝撃耐性5

   睡眠耐性5麻痺耐性5毒耐性5

   反応速度5防御5

称号 ビアンコ男爵家3女

   亜神(時空)アリスの巫女

   亜神アリス軍団士官候補生


名前 サーラ・ビアンコ 

種族 人(女性) 

年齢 26  体力G  魔力F

魔法 水弾5光弾5土弾5風弾5火弾5

   闇弾5回復5睡眠5ステータス5

   暗視5遠視5隠密5浄化5結界5

   探知5魔法防御5念話5飛行5

   神託5

身体強化 筋力5持久力5衝撃耐性5

   睡眠耐性5麻痺耐性5毒耐性5

   反応速度5防御5

称号 ビアンコ男爵家長女

   ジェダイト公国軍中尉

   亜神(時空)アリスの第3使徒

   亜神アリス軍団中尉

   亜神アリス軍団士官候補生指導官




♢♢♢♢




……アリス様の巫女長にして頂けた! アリス様ありがとうございます!


……ありがとうございますアリス様! アリス様の巫女としてこの身を捧げます


……うんうん サーラ第3使徒のお手伝いをよろしくね


……はい!!……神託終了……




 さてと。神のステータスを一応チェックしてみる。どうなった?



名前 アリス・コーディ(有朱宏治)

種族 亜神(時空) 人(女性)

年齢 0歳(身体年齢15歳)

体力 G

神力 G

神技 時空間操作Aエネルギー操作G

   ベクトル操作G物質創造G

   生命体干渉G精神構造干渉G

   神域干渉G

称号 神の自覚 使徒を得る

   聖地を得る 司祭を得る

   巫女を得る



 ふむふむ。着々と神さまっぽくなってきたね。こう言うのがアレかな。第2回目以降の進化に必要な隠された条件なのかな?


 この程度だったらかなり簡単に達成できそうだけどね。ま、一億年も先のこと。今はどうでも良いね。




「ヨシ、では早速アイツにコンタクトしようかな。」





……アリスである 司祭カルロネよ


……ははっ カルロネでございます



……息災であるか 現在の状況を申し述べよ



……我の説得 幸を奏してございますれば ジェラルディ侯爵の決意固まり マルチナ皇女及び使節団の無条件での帝都帰還を王太子に上申されております

近々に公爵の決心がなされると予測して御座います


……それは上々 よく注視しておくように

弟子の事である

サーラ・ビアンコ南部方面軍中尉及びその妹君エミリー ラウラの3名を早急に弟子として帯同する様に手配せよ


……はは 承知いたしましてございます。我が弟子 我が秘書 我が側近として扱いまする ご安心を


……良きに計らえ 3名は我と行動を共にしている故 準備整わば迎えにこい


……委細承知致しました


……神託終了……


 ヨシこれでいい。





♢♢♢♢





 ビアンコ男爵家屋敷の当主執務室。

ここでは当主であるダニエル・ビアンコ男爵と長女サーラが仁王立ちをして睨み合っている。



『お姉ちゃん。どうする?ステータス見て思ったんだけど隠密と反応速度を使えばお父様とか気が付れないうちにサヨナラできるんじゃ?』


『エミリー。私もそう思うけど訓練もしないでいきなり未知の身体強化使うの怖いんだよね。こうなったら我慢比べか。

あんた達の事を言うと火に油かもだから黙っておこう。カルロネ司祭の弟子という既成事実作ってからお知らせしよう』


『お姉ちゃんカルロネ司祭の弟子って何?』


『あ。そっからか。実はねーーー』




♢♢




 仁王立ちをして睨み合っているようで実は念話で楽しく情報交換しているサーラ姉妹に対してダニエル・ビアンコ男爵は混乱していた。



 おかしい。サーラはこんな口答えする子ではなかった。もっと素直で扱い易い子だったはずだ。




 ダニエルにはサーラ姉妹を軽く扱っていると言う意識は無かった。ただ普通の人より人に対する興味が無く人の気持ちが分からないだけであった。従ってダニエルは本妻や本妻の子達からもそこそこ嫌われていた。


 さっきもサーラに全力ビンタを張ってしまったがこれもこの男の衝動的で人の痛みが分からない性格によるもので本人はちっとも悪いと思って居なかった。軽くサイコパスが入っているのかもしれない。





 サーラが儂のビンタにビクともせず平然としている。自分の右掌に意識を向けると肘から先の感覚が無くなっている。まるで鋼鉄の彫像を全力ビンタしたようだった。右手はもう使い物にはならない。骨折している可能性もある。


 感覚が無くなっていた右手が猛烈に痛みだした。痛みの余り脚が震えて顔から脂汗が滲み出ている。恐らく顔面も蒼白となっているだろう。


 隣のパオロを見ると頬が紅くなっているものの何か行動を起こす様子は見えない。この役立たずめ。しかし。どうやって父親の威厳を保ちながら早急にこの場を収めるかー。




♢♢




「ではお父様。お父様がそれ程仰るのであれば婚約のこと、一ヶ月ほどジックリと前向きに考えさせて頂きます。

返事は一ヶ月後にお答えしますのでお待ちください。私達はこれからお友達のところにお泊まりに行きます。探さないで下さいね? 約束の時間ですのでこれで失礼します。ご機嫌よう」



「お、おう。分かった。待っておるぞ」



サーラ姉妹は一礼してさっさと執務室を出た。エミリーとラウラの部屋に寄って持ち出すべき重要な物を厳選しカバンに詰め込んで2度と戻らなくてもいいようにしてからビアンコ男爵家屋敷を後にした。







「下手にケジメ着けて婚約を断ったり義理を欠かないよう説明したりしないで適当なこと言ってサッサと出ていけば良かったんだね。勉強になるよ」


「エミリー。あたしもさっき気付いたんだよ。パオロとか放置して出て行っても何の問題も無いってね。

ああ言っとけば永久に婚約は決まらないから。一ヶ月後は約束ぶっちぎるからね。

なんかお父様は顔が真っ白になるくらいプルプル震えて怒ってたし。

当分顔を合わせない方が良いと思うんだ」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る