第38話 ビアンコ男爵家(2)


 私はアリス様から預かった魔核をエミリーに渡す。魔法「ステータス」で魔核のステータスを見る事ができる。渡した魔核のステータスはこれだ!



名前 ー

種族 神造擬似魔核

年齢 0  体力 ー 魔力 ー

魔法 神託5念話5ステータス5

称号 亜神(時空)アリスの創造物

   この擬似魔核で一回魔術が使える

   一回の使用で擬似魔核は崩壊する

   一回の使用で確実に魔術を習得する



 アリス様が一瞬で作り出した神造擬似魔核。封入されている魔術も凄いが、確実に魔術を習得すると言うのが凄まじい。



「使える魔術が分かるでしょ?ステータス5を私に使ってみて。私の称号を見てね」


「うん。分かった。ステータス5!」



名前 サーラ・ビアンコ 

種族 人(女性) 

年齢 21  体力G  魔力F

魔法 水弾5光弾5土弾5風弾5火弾5

   闇弾5回復5睡眠5ステータス5

   暗視5遠視5隠密5浄化5結界5

   探知5魔法防御5念話5飛行5

   神託5

身体強化 筋力5持久力5衝撃耐性5

   睡眠耐性5麻痺耐性5毒耐性5

   反応速度5防御5

称号 ビアンコ男爵家長女

   ジェダイト公国軍中尉

   亜神(時空)アリスの第3使徒

   亜神アリス軍団中尉



「えっ お姉ちゃん?物凄い事になってるよ? 称号は亜神(時空)アリスの第3使徒、亜神アリス軍団中尉?」


「エミリーはもうステータス5が使えるから、自分のステータスやお姉ちゃんのステータスを自由に見てて。次はラウラの番。

この魔核を持ってね。そう。サーラお姉ちゃんにステータス5を使ってみてね」




「サーラお姉ちゃん、これは。お姉ちゃん亜神アリス様の使徒って。神さまにお仕えしているんだね?凄い」


「そうだよ。エミリー、ラウラ。私は異界の亜神アリス様の第3使徒サーラなんだよ。

でね。アリス様がね。サーラのお手伝いが出来て信頼できる人いないかなって仰るから、エミリーとラウラに来て欲しいって思ったんだ。

どうかな?私のステータスを見たでしょ?

これが亜神アリス様の力だよ。

しかも!アリス様は本当に可愛らしくて優しくて素敵な女の子なんだよ!今ならアリス様の側近になれる。こんなチャンスないと思ったんだ。前向きに考えてよ」



「えーと お姉ちゃんはいつから使徒になったの?」


「エミリー、昨日だよ。本当ラッキーだった。南部方面軍司令部でアリス様の案内役になったお陰で。本当幸せ。あ、そうそう。まだ魔核がある。2つずつ渡すから魔術をあと2種類覚えて。間違えないで2種類覚えるんだよ?魔法「ステータス」で魔核のステータス見れるから見てごらん。そうそう。神託5と念話5だよ」




「覚えたね。じゃ休憩するか。コップ持って。水出してあげる。




「これは水弾5で水弾0の属性効果を加減して出せるんだよ。こんな事ができるなんて知らなかったなー。私の前から使徒やってるグレタさんとキアラさんって女性も色々教えてくれて優しくて良い人だから。

そういやアリス様以下使徒は全員女性だね。まあ、その方が安心して生活出来るから好都合だよね。

エミリーとラウラも安心だよ。変なパオロとか、パオロみたいな男とか居ないから。



「アリス様は神の力でこのコップみたいにいろんな物を作れるけど異世界の食べ物も作れるんだ。昨日食べさせてもらったハンバーガーセットってのメチャクチャ美味しかった。

アリス様のいたアースって世界には美味しい物が世界中にあるらしいよ。サーラさんも一緒にアースに旅をして美味しい物を食べ歩きましょうって言われてホント幸せだった!ふふ。楽しみ。

あ、水お代わりあげるよ。アリス様は食べ物も気前よくお代わりくれるからな〜。

アリス様がくれる飴ちゃんも美味しいからな〜」



「お姉ちゃん凄い幸せそうだね。あたしも使徒にしてくれるかな?」



「使徒かどうかはわからないけど魔術はくれると思うよ。私の事信用してこの魔核を預けてくれたくらいだから。こんな凄い物。一体いくらの値段がつくか分からない。神託なんて持ってる人ほとんど居ないんだよ?念話なんて聞いたこと無かったしね。


「あとね。アリス様はなぜか私に凄く好意的なんだ。だからあなた達も悪いようにはならないと思う。ここにくる前にもサーラさんに全部任せるからって言われたし。ふふアリス様大好きだなー」



「ラウラはお姉ちゃんのお手伝いをします。アリス様にお願いしたいです。良いかな?」


「勿論良いよ〜。多分喜んでくれるよ♪」


「エミリーも手伝います。お願いします」


「よっしゃー!2人ともゲットした! じゃどうしようかな。あなた達はー




「コンコン! コンコン! サーラお嬢様いらっしゃいますか!旦那様がお呼びです! 執務室まで来てください!」




「む。これからという時に。ぶっちぎろうかな。どうせアイツが言ってた婚約の話だろうし」


「ええ、お姉ちゃん? お父様に対して大丈夫なの無視とか?」


「あたしはもう21だよ?それに妾の子だからってロクに手もかけないで放置しておいて何なのよ今更。

それに私は亜神アリス様の第3使徒だからね。何人たりとも私に何かを強制する事は出来ない。私はアリス様の使命を果たす必要があるのだから」



「お姉ちゃん、アリス様の使命って何?」


「それはね。1年後にアースに戻る事だよ。その時希望すれば一緒に来て良いって言われたんだ。ふふふ!」


「じゃお姉ちゃんアースに行っちゃうの?」


「それがね。ちょっとまだ理屈はよく分からないけどアースとイースと同時に存在できるらしい。だからイースに居ながらにしてアースに行けるんだって。凄くない?」


「じゃラウラもアースに行きたい!」


「エミリーも行きたい!」


「そうだろう、そうだろう。行きたくなるよね。アリス様にお願いしよう。楽しみだなー」




「コンコン! コンコン! サーラお嬢様!  早くおいで下さい! 旦那様が催促なさっていますよ! 執務室まで来てください!」




「うっさいなー。分かったよ。行きゃ良いんでしょ。行けば。しょうがないなー。じゃ行くか。

あんた達どうする? いっそ一緒に行ってもう家出るからって言っちゃう? 面倒なくて良いかもよ?」


「そうだね。あたしは元々軍に採用されたら出る予定だったしね。一緒に行くよ」


「じゃあたしも」





 エミリーの部屋の引き戸を開けて3人で連れ立って部屋を出る。




 呼びに来た中年執事が睨みつけてくる。お嬢様って言ってるくせに扱いが軽い。お父様が私達に対するこんな態度や扱いを良しとしているからだ。やはり妹達もこの家から早く出た方がいい。




「サーラお嬢様。あまり手間を掛けさせないで頂きたいものです。それでエミリー様とラウラ様は何故一緒なのですか? 旦那様はサーラお嬢様をお呼びになったのですよ?」



「お黙りなさい。私のやる事に口出しをしてはいけません。あなたは使用人らしく家の人間のやる事を黙って見ていなさい」



「な、なんたる暴言を。旦那様にしっかりとお伝え致しますからね!」


「伝えたかったら勝手にどうぞ。

貴方生意気ですよ? 家の人間に対して何なんですかその態度は。エミリーやラウラに対してもふざけた態度取ってるらしいですね。舐めたことしてるとぶっ飛ばしますよ?」




「………………」




 生意気な執事は静かになった。3人揃ってサヨナラする為に父上の執務室に向かう三姉妹。こんな日が来るとは感慨深い。昨日までとは世界が違って見える。アリス様ありがとうございます。





 おっと、執務室だ。




「コンコン! サーラです」


「入れ!」




 ドアを開けて入って行く三姉妹。む?パオロが居る。さっきの話ということか。




「お待たせ致しましたお父様」


「遅い。儂が呼んだら直ぐに来なさい」


「はい。次回からは気をつけます」




「で、何でエミリーとラウラも来たんだ?」


「私もお父様にエミリー、ラウラと揃って用事がありましたので。ダメですか?」



「まあ良い。実はここにおるパオロ・ビーニ君とお前の婚約が整ったのでな。内々に伝えておく。式は半年後の佳き日に行うとのビーニ家の意向だ。それまでに軍を退役しておくように。分かったな」



「婚約につきましてはお断り致します。」



「そんな事は認められん。婚約は決定事項だ」


「お断り致します」


 防御5!


「バシーン!!」




 お父様のビンタが派手な音を立てて私の左頬に炸裂する。何なのこの人。女性にするような事じゃないでしょう。全力ビンタとか。

防御5のお陰で全く痛くないから良いけど。さすがレベル5身体強化です♪




 微動だにせずに平然と立っている私にビンタのフォロースルーの姿勢のまま驚愕するお父様。




「じゃお断りしましたからね。このお話は終了ですね?」


「そ、そんな訳あるか!」




 直立不動のまま睨み合う私とお父様。このままだと埒が明かないな。困った。お父様がこんなだとは。エミリーとラウラを連れてきたのは失敗だった。危険かもしれない。アリス様にご相談しよう。




……神託……

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