伝説の?

 昔むかしのお話。


 タゴサクがまだ小さい頃、裏山の山頂に伝説の鍬があった。

 岩に刺さった鍬の言い伝えは、岩から引き抜けた者に素晴らしいパワーを与えるというものであった。

 幾人もの村人、旅人、武芸者が挑戦したが、岩に刺さった鍬を抜く者はいなかった。


 権左という若者がおった。

 花を愛する心優しい青年であった。

 痩せっぽちの権左が、伝説の鍬に挑戦するという。

 周りの者たちは、絶対無理と馬鹿にしたが、権左は岩に刺さった鍬を握り、力を込めた。


 ── ズズズ ──


 静かな唸りをあげて、鍬が岩から引き抜けていく。

「「おおっ!」」

 周囲にざわめきが巻き起こる。


 鍬が引き抜かれ、権左の頭上にかかげられた。


 ──パチパチパチ 

 手を叩く音がする。

 気が付けば、鍬の刺さっていた岩の上に小さな男が座っていた。人の拳ほどの小さな小さな老人。

「さぁ、ついに勇者が現れた」

 小さな老人は、声高々に手をかざすと、権左に向け、言葉を続けた。

「勇者よ、力を与える」

 ゴクリという唾を飲み込む周囲の音が、権左と小さい老人に集中していく。

「先ずは、走り込みからじゃあ~!」

「「へっ?」」

「力とは筋肉! 筋肉に近道はない! 我がそなたに力を与える!」

 素晴らしいパワーを与えるって、特訓するって事? 小さい老人は、どこからか大きな紙を取り出し、近くの木に貼り付けた。


 4:30  起床

 5:00  走り込み

 7:00  朝食

 7:30  遠泳

12:00  昼食

12:30  筋トレ

         腕立て伏せ 300

        腹筋    500

        懸垂    300

15:00  休憩

15:15  走り込み

17:00  自転車

18:00  夕食

18:30  マシントレーニング

21:00  柔軟体操

22:00  就寝


「イヤだ〜~~」

 権左の絶叫が山頂に響いた。



 それから三年後、素晴らしいパワー(筋肉)を与えられた権左は、山から下りてきた。

 以前の痩せっぽちの権左は、そこにはいない。

 花を愛する心優しい筋肉男、ゴンザレスの誕生の物語である。



 そして今、裏山の山頂には、引き抜けた者に素晴らしいパワーを与えるという、伝説の鎌が岩に突き刺さっている。

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