タゴサクと魔法の小人

 昔むかしのタゴサクのお話。


 タゴサクが山菜採りに山に入っていた時の事です。

 いつもより山の奥に入っていますと、どこからか小川のせせらぎが聞こえてきました。

 こんな所に川が流れとったかと、音の方へ行ってみると、小川の横で眠っている男を見つけた。

 よく見てみると、いつもの魔法のグッズを持ってくる行商人である。

 あまりにも気持ち良さそうに寝ているので、起こしては可哀想と、立ち去ろうとしたのだが、行商人の横に何か動く物がある。

 目を凝らし、さらに近づいて行くタゴサク。

 そっと、そっと、静かに近づいて行く。


 行商人のカバンから何かが這い出している。

 小人?

 手の平程のサイズの小人が、6人。


「では、新しい魔法の品の製造会議を始めます」

 円座に座った小人たちが、話し合いを始めた。

「一号殿。小瓶は、どうでしょうか?」

「六号。それは前に作った」

「一号殿。ドアノブは、どうでしょう?」

「五号。それも前に作った」

「一号殿。今迄に無いものがよいであります」

「四号。今、それを考えている」

「一号殿。魚はどうでしょうか?」

「私もそれが良いであります」

「三号。二号。それでいきましょう」


 それぞれが、小川の側でスタンバイする。

「魚発見! 六号行きます!」

 一人の小人が小川へと飛び込む。

「あああああぁ〜」

「「六号〜」」

 一人の小人は、流れて行った。


「五号行きます!」

 一人の小人は、魚にしがみつくのに成功した。

「あああああぁ〜」

「「五号〜」」

 一人の小人は、魚にしがみついたまま、下流へと消えていった。


「私は、道具を使います。四号行きます!」

 一人の小人は、糸に釣り針を付け、魚を捕まえた。

「あああああぁ〜」

「「四号〜」」

 一人の小人は、糸ごと魚に引っ張られて、下流へと消えていった。


「私達は、網を使います。二号、三号行きます!」

 二人で網の両端を持って、魚を捕まえる。

 一匹GET。二匹目も網に入る。三匹。四匹。

「「あああああぁ〜」」

「二号。三号〜」

 二人の小人は、網ごと魚に引っ張られて、下流へと消えていった。


「クソッ!」

 一人残った一号は、力一杯、足下の岩を殴りつけながら、雄叫びをあげた。

 すると、岩陰に潜んでいた魚が一匹、プカ〜と、浮いてきた。

 急いで魚を捕まえた一号。


「二号。三号。四号。五号。六号。君たちの勇姿は忘れない。君たちの犠牲が、この魚の取得に繋がった」

 川下に向かい手を合わせた後、一号は、作業を開始する。


「これより、魚への魔法付与を開始する」

 一号が号令をかける。

 反応する者はいない。

 すると、魚が淡い光を帯び、ゆっくりと元に戻った。

 途端、魚が急に暴れだし、小川の中に落ちた。

「あぁ、魚が! 魚が〜!」

 絶叫をあげる一号を後目に、魚はゆうゆうと泳いでいく。


 一号の声に目を覚ました行商人が、優しく頭を撫で、懐から鈴を出し、軽く振った。

 ──リーン

「「飯の時間でございますか─」」

 川下から、五人の小人が凄い勢いで泳いでくる。


 六人揃った小人は、仲良く饅頭を貰い、カバンの中に帰っていった。



 行商人が立ち去った後の小川。

 タゴサクは、一匹の魚を捕まえた。

「おい、離せよ。なぁ、聞こえてるだろ。俺だってなぁ、生きているんだ。頼むよ」

 魚が喋って、命乞いをしてきた。

「これが魔法か……」


 タゴサクは、魚を逃がし、家路についた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る