タゴサクと空飛ぶ座布団
昔むかしのタゴサクという者がおった。
天気の良い日。
布団を干して、座布団を洗って一休み。
タゴサクの母ちゃんが、麦をもらった。
でも、入れる物がなかったので、そこにあった座布団のカバーの中に入れて、忘れてしまった。
それを知らないタゴサク。
お昼になって、何を干していたはずの座布団カバーを手にすると、何やら重い。
中身の綿を入れたまま洗ってしまったかな? とも思い、そのまま上に座ってしまった。
なんと、座布団の中には、麦を食べにきた雀たちがわんさかと入って、眠っておったんじゃ。
いきなり、タゴサクに座られた座布団の中の雀たち、ビックリして飛んでしもうた。
タゴサクもビックリ!
自分を乗せたまま、座布団が飛んでしもうたんじゃから。
ビックリして力一杯羽ばたく、雀たち。
力一杯飛んでいく、座布団。
ビックリしたまま、飛ぶ座布団に座るタゴサク。
そのまま、座布団は町に入り、お城の前まで来てしまった。
タゴサクは座布団に座ったまま、町を見下ろし、お城の堀を越え、ついには天守閣が目の前に。
そして、座布団は、天守閣の窓から中にスイーと、入る。
ビックリするお殿様。
正面には、誰も来ないはずの天守閣に入ってきた、座布団に乗ったタゴサク。
あまりにビックリして、お互いに頭を下げてご挨拶。
そこで、ついに雀たちも疲れ果て、座布団は、天守閣の中、お殿様の前で落ちついた。
退屈だったお殿様は、空から来た奇妙な客に興味津々。
急にお殿様の前に来てしまったタゴサクは、内心ガクガク。
とりあえず、座布団の中を確認してみると、たくさんの雀たちがバサバサーと、飛び出した。
中身が無くなってスカスカになった座布団。
大混乱のタゴサク。
あわてて天守閣の窓から手を伸ばし、外にあった雲を掴んで座布団の中に詰め込んだ。
雲が詰まった座布団は、再びプカ〜と、浮き出した。
座布団に飛び乗るタゴサク。
「じゃ!」
見つめるお殿様に軽く手を振ると、今来た空へ。
空行くタゴサク。
窓から見つめるお殿様。
空行くタゴサク。
空がだんだんと、オレンジ色に染まり始める頃。ピュウッと、風が吹いた。
バランスを崩して、タゴサクは、座布団から落ちてしもうた。
落ちていくタゴサク。
落ちるタゴサク。
ヒュ〜〜〜。
ドズン。
落ちた先は、朝に干した布団の上。
タゴサク、無事に帰宅。
座布団は、お空を飛んだまま。
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