タゴサク足か尻

 昔むかしのタゴサク。


 ある夜、寝ているタゴサクの夢枕に女神様が現れて、こう言った。


「タゴサクや、私は泉の女神です。前に御供えしてもらいましたよもぎ餅、大変美味しくいただきました。また、御供えしてもらえませんか?」


 朝起きたタゴサク。

 まったく女神様の事を忘れておった。


 その日は、町に用事があったので、早々に家を出たんじゃ。


 すると、目の前に女神様が現れた。

 ちょっと不機嫌な様子。


「タゴサク。足? お尻?」

 何の事かわからんかったが、女神様を無視するのも悪いので、

「足で」

「右? 左?」

「左で」

 タゴサクが返事をすると、スウッと女神様は消えてしもうた。


 しばらくして、タゴサクは異変に気がついた。

「歩きにくい」

 とても歩きにくい。

 それもそのハズ、だんだんと左足が伸びて、長くなってきとった。

 えっ、えっとばかりに戸惑うタゴサク。


 町に行くまでの間にも、左足はドンドン伸び続け、ついには歩けんようになってしもうた。

 左の長〜〜い片足立ち。

 バランスを崩しそうになり、掴まったのが、お城の天守閣の窓。中には、お殿様。


 お殿様。ビックリするも、タゴサクが窓から現れるのも、二回目。

 なんとなく、特別な事が起こりそうな予感に、ウキウキした心持ちでタゴサクを見つめるお殿様。


 戸惑いながらも、お殿様を目の前にし、緊張するタゴサク。


 ハハー! とばかりに、頭を下げようとするが、今は長〜〜い一本足立ち。


 あっという間に、バランス崩して倒れかかる。

 でも、ここは高さにしてお城の天守閣。つまりは、お城の天辺付近。このまま倒れたら、大怪我をするかもしれません。

 タゴサク、ハッと思いつく。


「お尻で。お尻でお願いします!」


 瞬間、シュッと短くなるタゴサクの左足。

 体は、天守閣付近の空中。

 あわや、落下。

 大惨事と思いきや。


 ズンズンズンと、大きくなるタゴサクのお尻。


 あっという間に、気球のバルーン程のおおになり、

 バイ〜ン。


 トランポリンみたいに跳ね飛んだ。


 バイ〜ン バイ〜ン バイ〜ン


 お尻で跳ねながら、タゴサクが着いたのは、女神様の泉。


 女神様に夢枕の事を覚えていないことをお詫びして、お家に帰る。


 次の日、山程のよもぎ餅を持って、女神様の泉に行きましたのさ。


 

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