第39話 あの子とこの娘とそして君もなの? ACT 5
聞き間違い? 今なんって言った? 好きですって! うっそだろう!!
「はぃ? なんて言ったの? ――今」
「だ・か・ら・……先輩のことが好きなんです!!」
さらに顔が赤くなっている。
マジ! マジなのか。本当にマジなのか? 今告られているんだ。
あ、でもこの子恵美にべったりだったんじゃないのか。確か恵美のことが好きで……。
「あのぉーちょっと聞きたいんだけど。……この前さ、恵美のこと好きだって言ってたように思えるんだけど」
「ええええっと、それはそのぉ――、恵美先輩も私は大好きです。同姓としても愛しています。でも異性として笹崎先輩も好きなんです」
「い、異性としてって。それは男としてということ? なんでこんな貧弱な僕に。かっこいい訳でもないし、スポーツもそこそこっていったいどういうことなんだ?」
「もう、わかんないですか? 私は恵美先輩もそして笹崎先輩もどちらも好きなんです。もちろんもし、恵美先輩が許してくれるんだったらこの体恵美先輩にささげますよ」
ささげるって女同士でか?
「でも、恵美先輩はそう言うのは私には望んでいないんです」
そうだよな、多分彼奴はその点ノーマルなはずだ。ていうよりこのフラれた僕が言うのもおかしいんだが。
「それで僕が代役なの?」
「ち、違います。それは違うんです。私本当に笹崎先輩のことも好きなんです。わかってください。この気持ち。私知っているんですよ。笹崎先輩が恵美先輩のこと好きなこと。そして告白もしたっていうこともちゃんと知っています……告ったことはかなり有名な話になっていますけど」
な、なんだ。最後に付け加えたこのことは。そんなに有名になっているのか!
「それに一緒に住んでいるんですよね。もう、二人はラブラブなんですよね。学校では騒がれないようにあえて、嫌いなふりをしているんですよね」
「ちょっと待った。待て待て……なんか相当誤解しているみたいなんだけど。でも半分は当たっているから否定できない」
「半分ってどういうことですか?」
昼休み終了の予冷が鳴り響いた。
「えっと、もう昼休み終わりだから、それはまた今度ということで」
「また今度っていつですか? いいです先輩。とにかく登録させてください。今はそれだけでいいですから」
「これ読み取ってください」
今度はかなり必死な顔をしていた。なんだか押し切られてしまった感がしない訳でもないが、そのQRコードを読み取り登録させた。
「マリナ」となんか痛々しい包帯で片目をつぶしたアイコンが表示された。
「ありがとうございます。それじゃ、あとで連絡します」
『やったぁ――――!! もらちゃったぁ!!』とルンルンとしながら、僕を一人置いて彼女は立ち去った。
はぁ――、いったい何だったんだろう。
あ、やべぇ―、こっちもこんなことしてられないんだ。次の授業が始まる。
急いで教室へと向かった。
そんな姿をもう一人、じっと見つめている子がいたなんて、その時はまだ知る由もなかった。
笹崎結城。女難の相あり。
一難去ってまた一難……でも進展? いや後退したか?
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