第40話 肝試し

 一時期、廃墟巡りにはまっていた。

 通っていた大学の近くにある廃墟に行った時のことだ。


 夜、一人で建物を探索し、最上階である三階に上がると、外から声がする。

 窓から覗いてみると、肝試しに来たらしいサークルの知り合い数人の姿が見えた。


 私はふと、羽織っていた上着のフードを目深にかぶり、わざと物音をたてた。

 予想以上に効果があったようで、外にいた連中は私の姿に気づくと、悲鳴をあげて逃げ出してしまった。


 翌日、肝試しにいた知人の一人に会ったのでネタばらしをすると、彼は安堵したように笑いつつ言った。


「窓から血まみれで見下ろしてるからびっくりしたよ。で、隣にいたのって誰?」

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