人権を廃止します

あめ玉

第1話 プロローグ

 何故なぜこんなことになってしまったのかな——

 こわれた日常にちじょううれう。なにかがおかしいなんて生易なまやさしいものではない。何もかも、全てが異常いじょう


 趣味しゅみ娯楽ごらくたぐいは悪とされる。人と接することはゆるされない。親しい友人ゆうじん血縁者けつえんしゃとさえも会話をすることはできない。最後さいごに顔を合わせ、言葉ことばわしたのは誰で、それがいつだったのか思い出せない。


 すぐに終わるだろうと楽観らっかんしていた。数ヶ月経ち、一年経ち、早二年——


 数ヶ月先、数日先の私が何をしているか、どのような状況じょうきょうになっているか、近い未来みらいのことすら見当もつかない。きっと何もしていないし何も変わらない。幾度いくどとなく期待きたい裏切うらぎられ続け、考える気力きりょくはとうにてている。


 私にとっては突如とつじょ訪れた異常いじょうな日常。でも、ある朝目が覚めたらこうなってしまっていたのではない。皆が変化へんかから目をそむけ、見て見ぬふりをし続けた。その結果が現状げんじょう


 れさせるかのように、日常が少しずつむしばまれた。日々強まる制限せいげんを、他人事たにんごと認識にんしきしていた。反発はんぱつする人を見て、それに同調どうちょうした。何とかしなければいけないと認識にんしきしたときには手にえなくなっていた。


 専門家せんもんかでさえさじを投げた。

 政治家せいじかの発信は具体性ぐたいせいのないお願いばかり。


 この世界せかいに未来は無い。終わるのを待つだけと認識したのは、つい最近のこと。

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