ポール・ウィルソンの手記

@rannou

プロローグ

西部開拓時代。アメリカ大陸が発見され、ゴールドラッシュに沸き人々がその名の通り未開の地を開拓していった1850年~1890年ごろの時代である。

この時代はもちろん文明なんて発達していない。便利なスマートフォンもなければパソコンも無い、車だってこの時代にはない。情報が欲しければ新聞を読むか正しいかどうかわからない噂話を聞かなくてはいけないし、どこか行きたいところがあるのなら馬に乗るか電車なんかよりずっと遅い蒸気機関車に乗るか、はたまた歩いて移動するしかない。

そしてこの時代は現代よりも法がしっかりと整備されていたわけでは無く良くも悪くも自由な時代で、それ故に後世に残る決闘、ガンマンと呼ばれる人たちの伝説が多く残った。

そんな時代の人々の楽しみはテレビでもラジオでも勿論いつでも楽しめる動画投稿サイトなんかじゃなく、劇場での演劇やダイムノベルと呼ばれた小説、開拓時代終わり際に出てきたコマ送り同然の映画くらいだ。


そんな時代の1882年の6月。牧場を経営するウィルソン家の長男ポール・ウィルソンはある酒場の一角にあるポーカーが行われているテーブルに座っていた。

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