百年のオラトリア

榎本 奏

Ep.None プロローグ

夢を見たような気がする。

ふわふわと、どこかへ導かれて行った夢。


花の街を抜け、大きな港町を抜け、大きな都市を抜けたら、高い塔が現れて、今度はそこへ導かれる。


どこまでも高い塔は終わりが見えない。登って、登って、光の中へ。

視界が真っ白になる。


何も見えない視界の中で、誰かの声が聞こえた。


「待っているよ。我が愛し子達」

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