第28話 侯爵は報復の刃を振るう⑤-2
腰斬……文字通り、腰から肉体を両断する刑罰であり、斬首刑よりも絶命まで時間がかかるため、苦痛も凄まじいものになるのだ。
この腰斬という刑罰は、よほどの重罪人にしか与えられない。普通平民に与えられる死刑では絞首刑が行われるのが通例だ。斬首刑ですら滅多に行われない。今回の腰斬が行われるということは、それだけの重罪人という意味合いを持つ。
私はガーゼル達を腰斬で処刑することを決めていた。
母は今際の際に、私に謝罪した。
“お前にすべてを負わせる不甲斐ない母でごめんね”
これが母の最後の言葉だった。本来であれば私に色々な事を教えたかっただろう。ザーフィング侯爵は
ガーゼルは婿と言うことで、
私は母が目を閉じる前にガーゼルの口角が僅かに上がってるのに気づいた。私が気づいたくらいだ。母が気づかぬはずがない。母は絶望のうちにその命を理不尽に奪われたのだ。
私はその時にガーゼルを最も惨たらしく殺してやることを母の葬儀の場で誓った。
復讐の虚しさを偉そうに説く人間がいる。虚しいというのなら復讐をしなければ良い。
だが、私は違う。むしろ復讐をしないことでガーゼルがニヤニヤ笑っている不快さが消えるというのなら、復讐の虚しさに苛まされている方がよほどこれからの人生を快適に過ごせるというものだ。
さぁ……
ガーゼル、アルマダ……
無惨な死をお前達にようやくおくることが出来る。
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