こうのとり

第1話

こうのとり

赤ちゃんを運んでくると言われている。

元は、アンデルセンの童話らしいが・・・

今、俺は実子のお披露目会にいる。

俺と妻、そして両家族が参加している。

否

実子ではない。

この子は、妻の浮気相手との間に出来た子だ。

結婚前に念のために確認した。

俺はO型で、妻はA型。

間違いはなかった。

なので生まれてくる赤ちゃんは、O型かA型になる。

しかし、妻が抱いている赤ちゃんはB型だ。

生まれてくるはずがない。

しかも、浮気の決定的証拠も集めてある。

だが、ここでそれを突き付けても、世間は俺にバッシングを浴びせる。

実際は、そうなのだ。

妻はしてやったりと、思っているだろう。

昔から、浮気癖はあった。

でも、ここはあえて騙されてやることにした。

「こうのとりさんも、間違いはあるだろう」

そう言い聞かせた。

でも、俺はお人よしではない。

爆弾は最後の最後で落とそう。

月日は流れた・・・

「あなた」

「何？」

「もうじき、あの子もお嫁にいくわね」

「ああ。寂しさはあるが、貰い手があってよかった」

「あなたも、式には出てくれるわよね」

「でない」

「どうして？」

『俺はあの子の実父ではない。今も付き合いのある、本当の父親に出てもらいなさい』