プリュマー

華麗なるサクラゴン

第1話 ダストシティ

〜とある研究室にて〜

「プリュマーだな、貴様の研究は国家反逆罪とみなされた。連行する。」


「ちょっと待ってくれ!俺はなんもしていない!そ、そうだ。同じ研究者のムルトルに聞いてくれ!あいつが保証人だ!」


「…?何を言ってるんだ?そのムルトルという男がお前を通報したんだぞ。」


「そんな訳が無い!おい!離せ!おい!ー


チュンチュン


「嘘だぁぁあああ!ハァハァ…なんだ、夢か。」


悪い夢を見た。2ヶ月も前だな、逮捕されかけて死に物狂いで逃げた。国家反逆罪ってのはどんな罪よりも重い、一発死刑だ。

ただ研究しただけだぜ?それで死刑、冗談じゃない。

あれから1週間くらい逃げ出し、ここに無事辿り着いて住み始めたってわけさ。

あぁ、ここはどこだって?「ダストシティ(dustcity)」って言われてる無法の都市だ。

元は「アストラルシティ(astral city)」っていう宇宙開発の拠点的な場所だったが、とある問題から宇宙開発の責任会社どころか街その物が消されて無かったことにされた。

まぁ消された都市だが、かつて栄えた面影だけは残ってて廃墟のビルやただの骨組みが残ってる。


2ヶ月も経つとこんな生活にも慣れてきて一日のルーティンなんかも出来始めたりするもんだ。廃墟のコンクリートの上で寝るくらいなら地べたに寝そべりゴミ袋を枕がわりにする、食っちゃいけねぇ道に生えてる草、雨水のため方、


そしてー

ウィィィィィィィィィィィィィン!


「おっ来たな。」


これがここで一番重要なゴミ集めだ。


ダストシティはそう呼ばれる理由が存在している。この都市は閉鎖されてから壁を建築され隣にある国から見えなくした。隣にある国ってのは俺が前住んでた惑星国家「ルヴトー」って名前だ。そのルヴトーからダストシティにまたがる外周約43km、面積約100平方kmの国境を全部ゴミ捨て場にしちまったんだ。

毎朝7時半にサイレンが鳴り響きルヴトーの至る所から集められたゴミが捨てられてくる。

それをダストシティの奴らは群がりめぼしい物を探して持ち帰る。ただし、15時には戻らないとルヴトーのプレス機に潰されちまうから命懸けってわけよ。

ゴミで生きてる、いやゴミのおかげで生かされてるのがここの住民だ。だから「ダストシティ」。ここじゃ人間よりゴミの方が立場が上なのさ。


〜ゴミ捨て場〜

「あ、どうも。今日は早いっすね。」


「イリスさんこそ早いな。なんかいいモノでもあったのか?」


イリス・ギャンブル 俺がこの街に来ていろいろなことを教えてくれたり生き方を教えてくれた人だ。

毎朝早くゴミ捨て場に来て慣れた手つきでせっせとゴミを集めている。

「そこらへん、生ゴミあるから取っていいっすよ。」


「うへぇ、生ゴミあんま好きじゃないんだよなぁ…缶パンだけゴミとして捨てられねぇかな。そしたら元も子もねぇか。」


「え、缶パンってなんすか?缶に入ったパンみたいな…?」


マジかよこの人、缶パンすら知らねぇのか。


「あー…缶パンっつーのは非常食でして、缶に入ってるから保存期間も長いし持ち運びも楽なんすよ。」


「そんなのが外にはあるんすね。ほら、自分生まれも育ちもここなもんで」


そうか、ダストシティになったのは約100年も前。下手すりゃここで外の世界も見ないで死んだ奴もいるんだ、缶パンが未知な食べ物なのも納得出来る。


「へぇー。あ、その野菜ゴミは種があるので取っといてくださいね。」


「マジか!あざっす。」

ま、俺も今までその野菜の種の有無すら知らずに口にしていた無知な人間、似たり寄ったりだな。


1時間くらい経過した。

一通り気になる物を各々が集め終わり帰る用意をし始めている。このゴミ捨て場には人が沢山集まるため、住んでいる地域ごとに時間帯を決めている。


しかし


「おいお前ら!さっさと出ていけぇ!次がつっかえるだろうが!」


出たよく分かんねぇバンダナ集団、ゴミ捨て場の規律を守るって言いながら自分は破るヤバい奴らだ。


「絡まれたら面倒臭い、帰りましょ。」


「あぁ。」


袋に詰めた戦利品(ゴミ)を片手に俺らはゆっくりと歩き出した。

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