第643話 それぞれ
未来が変わる心配をしながら、穢れの結晶の気配を感じられるか試してみたけど、やっぱり感じられない。
だって、動いてないし呼吸もしてないからね。代わりに、妖しい気配や悪い気配を感じ取ろうとしたけどダメだった。
あたし自身が見つけるって宣言したのに、紋次郎兄ちゃんに役に立たないって思われたらどうしよう。
もちろん、そんなふうに思う人ではないけれど、なんか悔しい。
期待されたのに穢れの結晶を感じられなくても、紋次郎兄ちゃんはあたしを責めたりしない。【俺に任せておけ】って、気持ちを軽くしてくれる。
そういうのをサラッと言うから、あたしはあなたをドンドン好きになるのに、罪深い人だなぁ。
だけど、本人にその自覚が無いから何も言えない。まぁ、それはわかっていたから、一緒に居られるだけで満足しないとね。
って、今は穢れの結晶を探さないとイケないのに、またつまらない事を考えてる。
気配は感じられなくても目で探せばいいのだから、【紋次郎】そう呼ばれるあの人の為に頑張ろう。
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楓さんの腕を探している時に化け物カメから分離した、ヘビの体から回収したので穢れの結晶がどういう物なのか知っている。だけど、見当たらない。
湖の中を任せてもらったのに、このままだとただ泳いでるだけだ。
しかも、わたしのうしろに野生のカワウソがついて来る・・・違うの、わたしの見た目はカワウソだけど、本当はカワウソではないの。だからついて来ないで。
でも、
そうだ、このカワウソさん達に手伝ってもらおう。
追いかけて来るカワウソさん達に事情を話し、手伝いをしてもらったが、獲物の魚やカニを見つけると、捕まえる方を優先された。やっぱり野生のカワウソだ。
でも、まぁ、仕方がないよね。だってカワウソって大食漢だから、たくさん食べないと飢えちゃうみたい。
そういう事だから、わたしはひとりで地道に探そう。
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小桃に力を貸すように頼まれたけど、ワシは何をしたらええんじゃ?
なんか探しとるようじゃけど、ワシも探したらええんか? じゃけど、何を探しとるんじゃろう?
まあ、なんか言われたら、なんかすればええか。ちゅうことで、ワシはここでとぐろを巻いて
しっかし、おかしなヤツ等が突然現れたけど、なんでじゃろう。
ワシは真貝の当主以外の人間と接点を持ったらイケん・・・じゃけど、紋次郎をおちょくったら面白そうじゃ・・・じゃから、やってみた。
近くに来た紋次郎のうしろから、そ~~っと尻尾を伸ばして巻き付いてやると、紋次郎はデカい悲鳴を上げて気を失いおった。
ワシはもう大笑いじゃ。
じゃけど、紋次郎の悲鳴とワシの笑い声に気がついて、鬼の女の子とカワウソに化けとる
しかも、目を覚ました紋次郎に尻尾の先を踏まれてえらいこと腫れてしまい、今度はワシが悲鳴を上げた。
それでも、紋次郎と遊ぶのは楽しい。
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何かあれば呼ぶように紋次郎君に言われたけど、どうやって呼ぶのかしら?
どこに居るのか分からないし、声が届くとも思えない。
だけど、耳をすませて集中すれば、わたしは紋次郎君がどこにいるのか分かる・・・だって、わたしはウサギだもの。
だから、居場所が分かれば呼びに行けばいい・・だけど、この時代のここは怖いのよね。
だって、信じられないほど大きな気配を持つ者が、滝がある水場に居た。
わたしや静香ちゃんが怖がるのが分かっていたから、紋次郎君は蘭子さんと先に帰るように言ったんだと思う。
紋次郎君って戦う能力とか逃げる能力とか皆無なのに、いつも騒動の最前線にいる。
だけど大丈夫なのかしら? 運はいつか尽きる。まして、ここには紋次郎君に運を付与する龍神様が居ない。
だから、元の世界へ戻るまで、わたし達が紋次郎君の力になってあげないとダメだよね。
みんなが何を考えているのか知らない俺は、禁忌な物である穢れの結晶に呼ばれるのでは、なんて考えていた。だが、そんなに都合よく呼ばれるはずもなく、焦り始めたところで大蛇に巻き付かれ、不覚にも俺は気を失った。
目を覚ましてからは、イライラが募り冷静に探せなくなったので、今日は諦めて帰ることにした。
陽が暮れると道が見えなくなって危険だし、ヘビが出る時間になるからな。
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