第319話 正体
クルミの正体・・・もしかすると、俺の想像通りなのかも知れない・・・珍しく。
もちろん、桃代にヒントは貰っていた。【あの子には何か取り憑いてるのではない】
あの言葉だ。
龍神に聞いた話では、
しかし、それが出来ずに
更に、淵の底にある洞窟の中に居た小さな
だとするならば、洞窟の中に居た小さな
まあ、
しかし、どうやって今まで生き延びてきたのだろう? 龍神もそうだけど、この手の奴らは長生きなのか?
ただ、俺の想像通り、クルミがカワウソに化けた小さな子供の
今後、このまま一緒には暮らせない。
なぜなら毒を持っているからだ。
母屋の中に毒を巻き散らかされると、どえらい事になる。
「今のクルミの発言で、紋ちゃんもクルミの正体を確信したでしょう。そう、クルミは小さな
「そうなのかクルミ。俺もそうかなぁ~って思ったけど、バカな俺の予想が当たるとは思わなかったぜ。だけど、
「あのね紋次郎君、壊れた
「ん、ん、ちょっと待て。みっちゃんって誰だ? 龍神の話に出て来たず~ちゃんとは別のヤツか? そうするとおかしいだろう。あの逆鱗はず~ちゃんのモノではないのか?」
「龍神様の言うず~ちゃんと、わたしの
「名前を
「マガイモンって、紋次郎君の場合は、ただ単に名前を略されただけでしょう。そういうのを被害妄想って言うんだよ」
「うるさいぞ桜子。おまえもニセモン、パチモン、マガイモンって、陰でそう呼んでいたくせに」
「桜子や、そんな呼び方をしてたのかい? それはイケないねぇ、当主の紋次郎さんに失礼ですよ。あなたも龍神様がしたように明日から絶食をするかい?」
「あうっ、婆ちゃん、それだけは許してください。ごめんなさい紋次郎君、もう二度と言いません。」
「ごめんなさいね紋次郎さん。桜子も反省しておりますので、わたしに免じて許してやってください」
「梅さん、そんなに気を遣わなくてもいいですぜ。もう慣れっこだからな。それで、龍神はどんな感じで
「すご~い、紋次郎君はどうしてそこまでわかるんですか?」
「えっ、マジなのか? ボケたつもりだったのに。龍神おまえ、それはダメだろう」
「いや、まあ、そうなんじゃけど。ほれ、当時のワシはやさぐれとったけぇ、そういう事もあったかのう。あまり昔の事をほじくり返さんでくれ。ほんで、クルミが
「それなんですけど、この姿に変えたのは、みっちゃんなんです。
「そうか、それは可哀想じゃのう。ワシの
「いえ、この姿でないと紋次郎君と一緒に居られませんので、このままがいいです」
「俺もその方がいいな。クルミまでニョロニョロし始めたら、オイラは家出をしますぜ。あとな、なんで記憶を失ってたんだクルミ?」
「それは・・・最初の
「龍神ッ、またおまえが原因かぁ。おまえは本当に厄病神だな。それで? 苺に取り憑いた、クルミの姉ちゃんの
「いえ、紋次郎君の製作した
「そうだな、それも龍神がぶち壊したよな。せっかく守った
「あの
「なんでそうなる? 俺は桃代が作ってくれた
「そんなやり取りがあったんだ・・・ごめんね、詳しく知らないくせに、無茶をする紋次郎兄ちゃんは好きじゃない。なんてキツい事を言って、本当は大好きだからね」
「キーコおまえまで、なんでそうなる? それよりもいいかクルミ、龍神の話では
「おいおいおい紋次郎、なんでワシまで一緒なんじゃ? そこまでワシをぞんざいに扱うと、いくらなんでもバチが当たるで」
「あのな龍神、おまえが抱き付いて、俺のあばら骨がポキポキ鳴った時なんだけど、千年前に巻き付かれた前世の記憶が蘇ったぜ。あの時も、身体中の骨をボキボキ鳴らしてくれたよな。そのあとはクサフグの刑だっただろう」
「うっ、そうじゃった。余り思い出しとうない記憶じゃ。ちゅうことで、毒を吐かれる前にクルミを動物園に売り飛ばそうか」
「紋ちゃんも龍神様もいい加減にしなさい。今はカワウソのクルミが、毒を吐く訳ないでしょう」
「そうは言いますけどね桃代さん、明日の朝目覚めたら毒殺されていた。なんて、オイラはイヤですぜ」
「あのね~毒殺されてたら目覚める訳ないでしょう。それにクルミは大丈夫よ。不安なら直接クルミに聞いてみなさい」
「きゅ! わたしは毒を吐きません。それは龍神様の記憶違いです。お願い紋次郎君、信じてください」
「よし、クルミを信じよう。大昔の龍神の記憶は、多少のボケが進行して間違いだらけだからな」
「ボケてないって言うとるじゃろう。仮にワシがボケとったら、それは長く生きとるせいじゃのうて、紋次郎あんたの前世が影響しとるんじゃ」
「あっ、テメエこのヤロウ! また俺の
「じゃから、あんたのバカが影響しとるんじゃろう」
「うっ、そうですね、そこは否定できません。じゃあクルミ、おまえが知ってる事と龍神の記憶違いを教えてくれるか」
「はい、紋次郎君」
やっぱりクルミの正体は、小さい子供の
本来の姿に戻るようなら、ここから追い出すつもりでいたが、カワウソの姿なら大目に見てやろう。
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