第285話 悩み事
俺の親指の犠牲の中で、小さいけれど立派な社が完成した・・・・・・らしい。
完成の瞬間、俺は母屋の中で治療を受けていた。
もちろん、桃代とキーコの説教付きの治療だ。
そんなに怒るなよ、少し腫れて青くなっただけなんだから、この程度の怪我なら過去に何度もしてるから全然問題ないぜ。
治療を受けながら、過去の出来事が頭をよぎり、
ただでさえ薄暗く不気味な森だ、日が暮れると、森の入り口にある石垣に近寄るだけでも、怖ろしい。
もしも、ふざけたヤツが居て、白いシーツを頭から
そういう事で、完成した
夜になり、居間で
その
それなのに当の本人は、テレビを見ながらデカい口を広げゲラゲラと笑っている。
コイツ、人の気も知らないで、なんだそれは! 笑いながら俺の肩をパシパシ叩くな! 金づちで叩いた親指がズキズキするだろう。
それでも、俺は苺に対して注意をしない。
今のうちに楽しめるだけ楽しめばいい・・・残りの時間、悔いの残らぬように。
「いいか苺、俺は明日の午前中に出掛け、あの森に
「えっ、本当ですか? うれしいです、早速連れて行ってくださるのですね。キーコさんも一緒に行きましょう。そして、わたくしに似合いそうな勝負下着を選んでくださいね」
「だそうだ、どうするキーコ、一緒に行くか? 行けば午前中の勉強時間がなくなるぜ」
「大丈夫だよ。勉強は
「あ、そうだな。キーコさん、お願いします一緒に来てください。オイラは設置に忙しいので、苺のことは任せます」
「任せますって、何か納得いかないですが、まあいいです。明日が楽しみになりました、紋次郎さんありがとうございます。キーコさん頼りにしてますよ」
俺は明日の予定を苺に伝えると、寝室に行き
ちなみに、広い母屋には、まだたくさんの部屋が余っている。
しかし、俺には自分だけの部屋がない。
前の部屋をキーコが引き継いだから・・・それだけではない、空き部屋を自分の部屋にすると、
結局、広い寝室の一角に机を置いて、周りをパーティションで囲み、そこだけが俺の専用スペースとなった。
当主としては情けない空間なのだが、だからと言って不満は無い。
もともと、狭いワンルームマンションで暮らしていたのだから、俺にはこれで充分だった。
常に自分の目の届く所に居る
さすがは家庭内ストーカー、いろいろやってくれるぜ。
その寝室の隅にある机の前に座り、御神体を何にするのか考える前に、まずはパソコンで調べてみる事にした。
遥か大昔、水龍になり損ねた
いろいろ調べてみたが、そのうちに気が付いた。そんなモノ、ネットで調べても出てくる訳がない。
仮に出て来ても、それはただの空想だ。
だが、当時の生き証人がいる。
龍神が思い出してくれると手っ取り早いのだが、今現在は忘れているようだし、無理に思い出せとは言えない。
少なくとも、
そいつの、惨殺された遺体から、埋葬までの過程を思い出させるのは、酷だと思うからだ。
まあいい、思い出せとは言わないが、ヤツのことだ
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