第66話 焼き芋
俺は荷物を
しかし、実際に扉の
当たり前だが、
そんなふざけた桃香が焦る口調なのだから、かなり危険な状況なんだろう。
扉が
それと同時に風が吹き込み、
腐乱臭ではないし、ナフタリンの匂いでもない。
「どうしてここに戻って来たの?・・・ ・・・ダークピーチ」
ぐッ! あのヤロウ、俺を笑わそうとしてるのか? いま吹き出しそうになったぜ。
「なんじゃ、その呼び方は? 頭の中がお花畑になったのか?・・・ ・・・ピーチ仮面」
ぐッ! コイツもか、しかもその表現、意味が微妙に合致してるところが腹立つぜ。
「まあよい。このあいだ、そこで紋次郎に会った。
「それがどうかしたの? そんなことを言う為に戻って来たの?」
「キサマの悔しがる顔が見たくてな。
「あなたッ、何人殺せば気が済むの? そんな事ばかりしてると、もんちゃんに嫌われるよ」
「知った事か、
「変な解釈をしないでね、ダークピーチ。約千年、確かに嫌な事ばかりだったけど、わたしの役目は終わった。だから
「既にこの
「そんな事が許される訳ないでしょう! 第一、もんちゃんは必ずあなたを止めるわよ」
「どうやって?
「うぐッ、止められるわよ。そりゃあもう簡単に止めるわよ。もんちゃんはねぇ、あなたを
おいおいおい、どこぞのロボットアニメの最終回か?
俺は空を飛べないし、自爆装置も付いてない。
「ぐッ、まさか! まさかそこまで進化しているとは。紋次郎、やはり
おいおいおい、今の話を信じるか?
そもそも、自爆装置が取り付く進化って、どんな進化だよ。
「あ~はっはは~ ダークピーチ敗れたり。そういうことだから、早く
「・・・紋次郎。あの
「あうっ、それは、それはそうだけど・・・でも、殺さないで、もんちゃんは見守るって、決めたじゃない」
「そうであったな、紋次郎の死を願う馬鹿な当主が居たからな・・・だが断る! やっと自由に動けるようになったのだ、
あれ? ダークピーチが妙なことを漏らしたぞ。
俺の死を願った当主って誰なんだ? そうは言っても、候補は二人しか居ないけど。
「ダメだよ、
「
「そう、何を言っても、あなたは変わらないのね。あなた自身、わたしの不満を核に、他人の欲や自分勝手な願いの権化だものね。
「ちッ、最後まで嫌味な女よな。まあよい、キサマの希望通り死ぬがよい。
あれ? 不穏なことを言いながら、いまダークピーチが出て行ったぞ。
あれ? この状況で嗅ぎたくない、灯油の匂いがしてきたぞ。
あれ? 確かに俺は、ふざけた桃香の面に、焼き芋を焼く燃料にすると
まさか? 焼かれる芋は、俺だったのか?
俺はミイラになる運命ではなく、焼き芋になる運命だったのか~~~~ッ。
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