第12話 『帰宅』



 一通りベリアルを虐めた私は満足してアベルと帰ることした。




「師匠……流石に可哀想だったんじゃ……」




 アベルが可哀想に街の方を見る。ベリアルのことを言っているようだ。




「大丈夫よ。あの程度で泣く方が悪いわ」




 店員のベリアルに大量のメニューを頼み、めんどくさい注文を大量にして、写真を撮って転送魔法で魔王様に送っただけだ。




 やがて魔法の森にたどり着き、懐かしの家に着いた。ほんの半日であったが長い旅のように感じる。




 さっさと家に帰りくつろごうと私が家の扉をあげると、




「待っていだぞ」




 そこには黄金の装備を着こなす男が仁王立ちして待っていた。




「お父さん!?」




「勇者!?」




 それはアベルの父であり、魔王を倒した英雄である勇者だ。




「なんでここに……」




 アベルが心配そうに聞くと、勇者は堂々と答えた。




「ひっそり追ってきた」




 普通に尾行していたようだ。




「なぜ、お前が元魔王の手先と一緒にいるんだ」




 勇者は怒鳴るような声で言う。それはそうだろう。過去に戦った敵と息子が仲良くしているんだ。そんなこと父親が許すはずがない。




「俺も仲に入れろ!」




 は?




「お父さん寂しいだろ! お父さんも仲にいれなさい!」





 何言ってるのこの勇者ァァァァァ!!




「ちょ、おい、勇者!! 何言ってるのよ! あなたそれでも勇者!? 私は元四天王よ! それにあなたの息子は魔王になりたがってるのよ!」





「そんなことはどうでも良い。俺もジャンケンに負けたら魔王だったからな」




「え?」





「俺は魔王の奴と喧嘩した時に、どっちが魔王でどっちが勇者か、それをジャンケンで決めて、それから喧嘩を始めたんだ」




 魔王と勇者の戦いは喧嘩だったのー!!

 てか、じゃんけん!?




 この勇者と魔王の喧嘩に世界が巻き込まれたと考えると、なんだか悲しくなる。しかもその幹部を務めていたなんて……。





【後書き】


 彼らはなんてことをしてくれたんだー!

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