第7話 『やってきた魔王』



 元魔王であるマオを家に入れた私は紅茶を出した。




「こちらをどうぞ」




「お、ありがと」




 マオは紅茶を飲みながら、部屋の掃除をしているアベルを見る。




「それでアベルはなんでここにいるんだ?」




「魔王になる修行のためです!」





 素直に答えたアベル。




 それを聞き、私は汗をかく。そう、修行と偽り、私は家事をやらせているだけ、魔王様にバレたら殺される!!




 マオは私の顔を見る。その顔は笑っているが、怒っているようにも私には見える。




「なかなか良い修行じゃないか」




 大丈夫だった。




「はい。家事も修行の一つですから」




 私がそう言うと、マオは一呼吸置き、紅茶を飲む。

 その間、なんの会話もない時間が続く。




 なんだろう。この間は……。まさか、何か間違っていただろうか。魔王様を怒らせてしまっただろうか。




 私が怯えていると、ついにマオが口を開く。




「そうだな」




 その一言のためだけに! どんだけの時間を使ってんだ!!

 めっちゃビビったわ!!




 私が心の中でツッコミをしながら、魔王様を警戒していると、アベルが魔王様に質問する。




「マオさん。魔王らしい武器とかってあるんですか?」




 今のアベルの服装は布のマントを羽織り、腰には剣を刺している。見た目は魔王というよりも冒険者に近い。




「そうだな〜。よし、魔王グッツを売ってる店を紹介してやろう!」




 どんな店だよ!!




「オレの行きつけだ!」




 魔王様!? あなたの武器や装備はそんなグッツ屋さんで買ってたんですかー!!





【後書き】


 魔王の価値が。


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