第3話 『弟子の一撃』
勇者の息子が私の家にやってきた。私の余生にこんなことが起こるとは……。
勇者の息子であるアベル・ペンドラゴンは光魔法の素質を持っている。
勇者に素晴らしい魔法だと言うのに、魔王になりたいと言っている。
どうするべきか……。
悩んでいる私にアベルが布包みを渡す。
「あの〜、良ければこれを」
受け取ると、それはどっしりとしていて重たい。
何かと思い、中身を見てみると、大量の金貨が入っている。
「…………貰っていいの?」
「はい。僕を魔法にしてくれるなら」
「任せなさい」
金の力に負けました。
とはいえ、魔王にするにしてもまだ彼のレベルは低い。ここはまずは基礎的な能力を得ることからだ。
「これからは私を師匠と呼びなさい」
「はい。師匠!」
「よろしい」
なんだろう。この尊敬の眼差し。すごく久しぶりだ。
「まずはあなたの力を見せて欲しいの。良いかしら?」
「はい!」
私はアベルを連れて、家の外に出る。
森に囲まれた場所ではあるが、大樹の周りは雑草を刈ったりしているため、綺麗になっている。
お気に入りの花壇に何かあっても困るから、少し離れた場所で、二人は向き合った。
「手合わせするわよ。アベル!!」
「え、は、はい! 師匠!!」
アベルは戸惑いながらも背中に背負っていた剣を抜く。魔王というよりも、見た目は完全に勇者である。
「よし、かかって来なさい!」
しかし、勇者の息子とはいえ、まだ幼い。
私は軽い気持ちでアベルの攻撃を受ける気でいた。だが、
「はい!!」
アベルが剣に力を込めると、剣は輝き出す。
「え? え!!」
そして剣を軽く縦に振ると、剣は風を切り、疾風の斬撃となった。
「ちょちょちょちょ!! あぁー!!!!」
私は倒れるように避ける。斬撃は森を半分に切り裂き、さっきまで立って来た地面は地割れが起きたように大きな穴が空いていた。
【後書き】
強いね。
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