ダンジョンで変なスキル貰った
トマトオニオンスライム
スキル【ぴっつぁ】
初級ダンジョン3層で、俺こと
「そんなんじゃ俺は倒せねーよ!」
ゴブリンの攻撃がデカイ腹に当たりそうなのをギリギリで躱しながら強がる。
本当はおうちに帰りたい。
今まで2層までしか潜ってなくて、そろそろ3層行こうと思ったのが間違いだった。
俺、スキルとか無いから、ゴブリン1匹でギリギリなんだよな。
なのに2体同時とかさ。死ねって言ってるようなもんじゃん!でもさ!ずっと2層までしか行ってなかったから、みんなにゴブリンプロってバカにされて悔しかったからさ!
でも死ぬよりもバカにされてた方がマシですよね!?
本来ならばダンジョンに初めて入った時点で全ての人が何かしらのスキルを得る。
それが戦闘系なのか生産系なのか生活系なのかは発現するまでわからない。
しかし、俺にはそれが出なかった。
ごく稀にそういう人はいるみたいだ。1億人に1人くらい?知らんけど。
普通なら諦めて、どこかに就職でもして、一生平社員、もしくは頑張っても係長くらいで人生を終えるのだろう。
だがしかし、俺はどうしても探索者に成りたかった。
だってモテたいから!!
探索者になって、強くなって、金持ちになれば絶対にモテる筈なんだ!!
デブな俺でも彼女どころか、ハーレムだって作れる筈!
そう思って頑張ってきたけど、もう無理ぽ(古)
ぼくちんは
どうていのまま
しんでいく
あー。辞世の句思いついたわ。死ぬときは自分の血でそれ書いとこ。
ゴブリンの攻撃を避けながらアホな事を考えているからだろうか?足元を疎かにしていた俺は、自分の右足が左足に引っかかってコケた。
あ。オワタ。
辞世の句を書く準備しないと。
俺の頭にゴブリンの持った棍棒が迫り来る。
呆けた顔でそれを見ていると、横からとんでもない電撃がゴブリンを襲った。
一瞬で灰になるゴブリン。それを見たもう1匹が警戒態勢を取るも、再び現れた電撃で灰になる。
あら?辞世の句書かなくて良くなった?
そう思いながら電撃が飛んできた方を見ると、黒いフードを被り、黒のローブを着て、白い髭を胸元まで伸ばした爺さんがいた。
「お主。大丈夫かのぅ?」
「え?はい!大丈夫ですたい!」
「何で鹿児島な感じを出したんかは知らんが、大丈夫そうではあるのぅ」
思わず以前テレビで見た西郷隆盛のドラマから得たエセ方言を使ってしまったばい。
おっと。心の中でも出てしまった。
爺さんは混乱している俺の方へと歩いてくる。
「お主は・・・。なるほどのぅ。スキルを持っておらんのか」
「よくわかりましたね?アレですか?見ただけでわかっちゃう系の爺さんですか?」
「そうじゃよ。本来ならば手を貸す事は禁じられてるのじゃが。ワシの目の前で死なれても困るのでのぅ。ついつい仕方なく手を貸したんじゃ」
あれ?会話噛み合ってる?ジジイボケてんのか?聞いてない事まで答えとるやん。
「あー。爺さんは何者?」
「ほっほっほ。そんなお主にワシがスキルの書をあげようでは無いか」
やっぱ噛み合って無いよね?
大丈夫コレ?変人じゃない?逃げた方がいいかな?
でもスキルの書をくれるっていうし。
スキルの書って超絶レアアイテムなんだよな。
基本は10層毎にいるボスからしか出ないし、出るとして月に一回出るか出ないかくらいって聞いたしな。
ちょっと会話が噛み合わないイカれたジジイな気がするけど、くれるなら貰おうかな?
「爺さん!何卒俺にスキルの書を下さい!!」
そう言ってイカれたジジイの方を向くと、既にそこには誰も居なかった。
ジジイ!!どこ行きやがった!?
辺りを見渡すが人っ子1人いない。
ふと下を見ると、爺さんがいた場所に3つの巻物が落ちていた。
これスキルの書じゃん!!
ネットで見たことある形そのまんまだもん!
しかも3つも!?ジジイナイスぅ!!
早速拾う事にするか。
屈んで巻物を取るが、腹が邪魔してそれだけで息切れする。
どうにかひとつ取り、よくよく見てみる。
【ぴっつぁ】
無駄に達筆で書いてあった。
何だ?ピッツァ?ピザ!?
どういう事だ?これはスキルの書じゃなくてピザなのか?んなわけないか。
巻物を開いてみるか、効果が書いてあるかもだし。
スキルの書の中身を見たことがない俺は不用意に開いてしまう。
するとポンッという音と共に、巻物から煙が出た。
「ゴホッ!ゴホッ!あー。何だ今のは?まさかジジイになってないよな?」
鏡なんて持ち歩かないから、スマホのカメラを内カメラにして自分を見てみるか。
正直自分の顔なんて出来れば見たくないし、友達と一緒に写真も撮ったこともない俺からすればスマホの無駄機能No. 1の内カメラを起動する。
んー。特に変わりはないな。
画面に映る俺は相変わらずのおデブちゃんだ。
スマホをポケットに入れて、どういう事か考えてみる。
そもそも俺はスキルが出てないから、スキルの使い方すら知らんのよな。
ネットで見たときは、スキルが発言した瞬間頭の中で効果や使い方が認識されるってあったけど。
そんな感じは少しもないからな。
でもピザのスキルか・・・。
もしかしたら昔のギャルゲーであった能力みたいに、手のひらから饅頭じゃなくて、ピザ出たりしないかな?
そう思って掌を広げて念じてみる。
ピザ来い!俺としてはお得感のある、ハーフ&ハーフのピザ!いつも頼んでる帽子ピザのエビ系とマルゲリータLサイズがいい!!
心の中で念じると、何の前触れもなく、掌の上にピザが現れた。
「アッツ!!」
掌に熱々のピザが出てきた事で思わず落としてしまった。
「俺のピザああああああああ!!」
ピザが出てきた事に驚くよりも、出てきたピザが具のある方から地面へダイブした事で完璧に食えなくなった事のショックがデカすぎる。
わ、わいのピザが・・。
ショックのあまりピザの前で膝をついてしまう。
orz状態でしばし呆然としていると、めちゃくちゃ腹が減ってる事に気付いた。
あ、コレ、アレやん。
俺自身のカロリー消費して出すやつやん。
めっちゃ腹減ったもん。
あー。出したものを食べればプラマイゼロになるやつかー。使えねー。
結局腹減ってる時に使ったら余計に腹が減って・・・。
そこで気付いた。
あれ?これってさ、出した後に食べなきゃ痩せるんじゃね?
今日は食い過ぎたわ〜。
ちょっとピザ出しとくか。
これで太らなくね?
やばい・・。
最強じゃねーか!!
世の女性の皆様なら間違いなく欲する、キツいことせずにダイエットができるスキルだと!?
これは、おデブまっしぐらだった日々ともお別れの時がやって来たかもしれん!
俺は痩せるぞー!
ジョジョー!!
っと。それはともかく次のスキルの書を確認するか。
俺はもう一つスキルを取ろうと腹を凹ませながら屈んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。