第7話 8月15日

「8月15日」


あの頃のお盆の夜

兄が帰省し

父と母と妹と

僕は家族と

この部屋に集い

おじや叔母も来て

にぎやかな宴だった

線香の煙が

提灯の光でゆれていた

ただそれだけを

ただそれだけを憶えている


あの頃のお盆の夜

兄が他界し

父と母と妹と

僕は一人で

この部屋にいて

遠い所にいった

家族を探している

線香の匂いが

蝋燭の炎に揺れている

ただそれだけの

ただそれだけの夜を過ごしている


8月15日

遠くから盆踊りの唄

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