転生したぼくちゃんは異世界でもオタ活がしたい

上ジョー

第1話 ぼくちゃん転生

目覚めたら、暗い部屋にいた。

いや、正確には、目覚めたといえないかもしれない。

ただ、そこに意識があるだけだった。

遠くのほうで声が聞こえ、ぼくちゃんはおどろおどろ歩いていく。

しばらく、歩いたら光が見え、開けた場所に出た。

祭壇?神殿?そんな神秘的な場所だった。

天井に穴が開いていて、月明かりが部屋全体を照らす。

そこには、大勢の男女がいた。

人数にして、30人程度。みんな高校生くらいの若さだ。


「どこなんだよぉぉぉ!!!ここは!」

長身の男性が叫んでいる。

ぼくちゃんはその男に見覚えがあった。

クラスメイトの『森 智也』だ。

智也はいつも本を読んでいるぼくちゃんを見下し、馬鹿にしてくる。正直苦手だった。

ぼくちゃんは智也にバレないように人ごみに紛れた。

智也の他に知っている顔はいないか、探したが見当たらない。

どうやら、同じ学校から集められたわけではないようだ。


「おい!なんだあれは?」

誰かが叫んだ。

それにつられて、みんな一斉に空を見上げる。

上空のほうに、白い布が漂っている。

その布は、ゆっくり、とてもゆっくり落ちてきた。

近づくにつれ、それが人だということに気付く。


(・・・おんな?)

ぼくちゃんはおんなの異常な容姿に目を疑った。

まず、異常な大きさ、身長が一般的な男性の倍はあり、3メートルは超えている。

容姿は、金髪で青い目をしている。実際にいたら、キモオタのぼくちゃんでは

声を掛けるどころか目も合わせられないほどの美人だ。


「おい!下等生物ども」

その一言で騒いでいた、連中も静まりかえった。

「今の状況を察することもできない奴らに、私女神ウプスが直々に教えてやろう。」

(・・・なんで上から目線?)


「お前らは、異世界から魔法の儀式によりここに呼び出された。簡単に言うと転生だな。」

1度静かになった連中がまた騒ぎ始めた。

「下等生物ども静かにしろ、わざわざ説明してやってるのになんて態度だ。

あ~面倒だ何でもいいからまず5人チームを作れ。出来た奴らから異世界に転生させる。」

「おい!ふざけるな、きちんと詳しく説明しろ訳が分からない。」

クラスメイトの『森 智也』が叫んでいるが、自称女神はその言葉を無視して話を続ける。

「早くしろよ……」

ウプスはめんどくさそうにしている。異様な圧力を感じる。


「チっ……」智也が舌打ちしたのが聞こえた。

周りの状況を見たが動き出したものがいない…


少しの沈黙の後、1人の男が声を出して呼びかけた。

「みんな、とりあえず言うとおりにしよう。この状況はハッキリいって異常だ。下手な行動したら、どうなるか分からない!」

男は他の男女を既に連れているようだった。

「俺たちは、すでに人数そろっているが」


「ほう、聞き分けのいい奴は好きだぞ。それでは、こやつらから転生させてやろう。これは私からの餞別だ」

ウプスは、5人の前に手をかざした。5人は光に包まれ、そして姿が消えた。


「次に転生したい奴たちは誰だ?」ウプスが叫んだ。

その状況を見た他の奴らは、次々とメンバーを探しを始めた。


キモオタのぼくちゃんは困り果てた、ただでさえ人に話しかける事ができないのに

その間にもメンバーを5人集めウプスの元に向かうものが現れた。


(・・・どうする、この状況?)

そのような考えをしている間にも、次々とメンバーが揃いウプスに転生されている。


「さて困った…」ウプスがつぶやいた。

周りを見渡すと僕以外にメガネのデブともやしみたいな猫背のガリ、2人しか残っていない…


「人数ぴったりで呼び出したはずなのに3人あまってしまった…しぬか?」


「ちょ、ちょ、ちょっと、まってくださいよぉぉぉデゥフ!」

ウプスの言葉にデブが割って入る。


「どうせお前ら、異世界にやってもすぐに死にそうだし、なんか臭いし」


「臭くないですぞぉぉぉ!3日に1回お風呂にはいってますぞぉぉデゥフ!!!」


(いや、汚いな…)つい心の中で、反射的に突っ込んでしまった。

もう1人のもやしみたいな猫背のガリを見ると、何か独り言をつぶやいている。


(なんか気味が悪いな…ろくなメンバー残ってないな)

ぼくちゃんも自分のこと言えないが…


ウプスが痺れを切らしたのか叫んだ

「あ~面倒だ、3人でメンバー組んで転生させるわ…」


ウプスのその言葉と同時に地面が抜け、3人は穴に落ちっていった。

ぼくちゃんは落ちながら、考えた。

(あれ?ほかの奴らと転生の仕方違うくね…)


1人になったウプスは思い出したようにつぶやいた。

「あいつらにギフト授けるの忘れたわ―」

























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