白獣戦記

@ace12

序章 the origin

偶然か必然か、ある瞬間、1つの星が誕生した。


現在、その星では巨大な山脈、広大な海により東西南北4つの大地に分けられている。そして、それぞれに異なった種の生物が存在している。




北の大地


乾いた大地に巨大な岩が無数に転がっている。ここに生息している種の名はクツノークス。岩のようなゴツゴツとした皮膚にドラム缶ほどに発達した両腕。彼らは大きな岩に穴を掘りそこで集団で生活している。この集団はいくつか存在し、決まった日に集まり、力を競い合っている。集団内そして、集団同士の繋がりも強く交流も深い。




西の大地


この地を治めているのはカスティーロ。肌は青白く髪がなく常に黒のローブを着ている。彼らは全員が魔力を扱え、常に魔術の訓練、儀式を行っていると言われている。また、儀式など行う祭壇の最深部には代々守りつづけている予言が書かれた石碑を持っている。辺りは一面湿地林である。




東の大地


この地は最速の種族 ゼネジェイ が生息している。鳥のような頭、手足そして、腕の手首の外側から鎌のようなものが飛び出ている。この地は細く伸びた山が多く彼らは、そこに巣穴を掘り生活している。他の地域に比べ、個体数が多く生息している。




南の大地


草原に森、海と自然がよく平がっているこの地は、唯一複数の種族が住んでいる。草原、森、海にはがそれぞれ長年その地を守り続けている一族が住んでいる。彼らはその地に住んでいた神の末裔と言われておりその地を守るため互いに干渉することはほとんどない。





これから始まる物語のしばらく前、二つの地でそれぞれ予言や言い伝えによる、選ばれた2人の子が産声を上げ始めた。


南の大地の大草原の中央にある大きくそびえ立つ巨岩、その中から、、




「おぎゃああ」


 生まれたことはあっという間に一族中に広まった。


「あの子が、われらの一族を守ると言い伝えられている子か」


「ああ、どんな王になるか本当に楽しみじゃの~」




「おい、生まれたのか?」


「王!」




「生まれたよ、早く来て」


 奥から赤子を抱えた母親の声が聞こえてきた。


「おお、そうか」


そう言うと人込みをかきわけ、母子の前に立った。


「ウェイドを抱いてあげて」


「ああ」


「……」


「なんかいいなよ」


「いいんだ、心で話した」


「もう、なにそれ」


「わかるもんなんだよ」


「いい物採ってきてあるから休んでから食べろよ、また来る」


「ちょっ」


「あーあ、行っちゃった」




「それにしてもなんで髪が黒いんだろー」






数年後、西の大地ではある儀式が行われた。


祭壇の中にある一室にて、なにか呪文を唱えている。


「ツィーヒ・オ・ブーラ・マスエラー」


「クレー・イール・イユ」


彼らは、数年に一度一族総出の儀式により子供を創る。今回は予言の書から一族を導く者が生まれると記されており、より一層力が入っている。


「アラビーゾ・エフォー」


最後に、全員でそう唱えると空に暗雲が立ち込めり、風も強くなってきた。


そして、部屋の中央に描かれている円状に書かれている文字の中央から黒い煙があふれ出す。その勢いは凄まじく部屋に留まらず祭殿すらも覆い、周りの森にも達するほどである。


その煙が徐々に消えていくと、部屋の中央には黒い物体があるのに気が付いた。


「なんだこれは」


「うっ」


若者が近寄ろうとすると気を失った。


「馬鹿者めが、未熟なものはこの部屋から出ろ」


「あれは、予言の子だ」


「くくっ、生まれながらにしてとんでもない魔力をまとっておるわ」


「平凡なものが近づくと命を保つこともできんぞ」


ぼふぅ


赤子からまた黒い煙があふれ出し、数人が倒れる。


「ふぉふぉ、将来有望じゃの」


「だが、まだ扱えきれんようじゃの。その力いったん抑えさせてもらうぞ」


長い髭を三つ編みにした一族でも位の高そうな一人がそういうと、黒い煙をものともせず赤子の胸に指でなにかの模様を書いていく。進むにつれ周りを包んでいた煙が引いていき、


書き終えると完全に消えた。


「これで一段落。さあ、この子を運んでやれ。そーっとな。」

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