第13話 大切なこと
13-1 まずい!
☆☆★★★
店に入ると、お昼時だというのに、客が一人もいない。これはまずい所に来たかな? と思っていたら、予感的中! ラーメンもま○い!スープは魚介系だけど、○○取りしてないんじゃないかってくらい生○いし、麺も中太麺で、確かにコシはあるけど、スープと全く絡まず、劇○なラーメンを食べてる感じ。おすすめ? 絶対に○○せん。
「なんだよ。こんなコメント載せんなよ。このサイト……。ま○いって、○の中すぐ分かるだろ」
スマホを見ながら愚痴を言っているのは、ラーメン
日野元はIT企業で働いていたが、五年前に退職し、大好きなラーメン店を開業していた。
IT企業の社員らしく、上手いラーメンの情報を分析し、自信満々で作り上げたラーメンだったが、評判はすこぶる悪く、リピーターもほぼゼロ、という廃業寸前で今に至っているのだった。
今日も、お昼に三人客が入っただけで、十四時の段階で、客は一人もいなかった。
暇を持て余した日野元は、店の裏で飼っている愛犬イッサのペットシートを取り替えに行った。ペットシートと言ってもネットで購入した新聞紙だが……。
日野元が古新聞を広げていると、那楽華の広告が目に入った。
「悩み解決って、こんなの見て行く人間いるのかね。……だいたいこんな場所に銭湯なんてあったか?」
そして、シートを敷き終わった頃、店のチャイムが鳴った。
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