第13話 大切なこと

13-1 まずい!

 ☆☆★★★

 店に入ると、お昼時だというのに、客が一人もいない。これはまずい所に来たかな? と思っていたら、予感的中! ラーメンもま○い!スープは魚介系だけど、○○取りしてないんじゃないかってくらい生○いし、麺も中太麺で、確かにコシはあるけど、スープと全く絡まず、劇○なラーメンを食べてる感じ。おすすめ? 絶対に○○せん。


「なんだよ。こんなコメント載せんなよ。このサイト……。ま○いって、○の中すぐ分かるだろ」


 スマホを見ながら愚痴を言っているのは、ラーメン一冴いっさの店主|日野元浩二ひのもとこうじ四十三歳である。


 日野元はIT企業で働いていたが、五年前に退職し、大好きなラーメン店を開業していた。


 IT企業の社員らしく、上手いラーメンの情報を分析し、自信満々で作り上げたラーメンだったが、評判はすこぶる悪く、リピーターもほぼゼロ、という廃業寸前で今に至っているのだった。


 今日も、お昼に三人客が入っただけで、十四時の段階で、客は一人もいなかった。


 暇を持て余した日野元は、店の裏で飼っている愛犬イッサのペットシートを取り替えに行った。ペットシートと言ってもネットで購入した新聞紙だが……。


 日野元が古新聞を広げていると、那楽華の広告が目に入った。


「悩み解決って、こんなの見て行く人間いるのかね。……だいたいこんな場所に銭湯なんてあったか?」


 そして、シートを敷き終わった頃、店のチャイムが鳴った。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る