7-3 計画
梢女に引き上げられ、辛うじて息をした佳奈は、唇を震わせながら言った。
「な、何ですかあれ!ど……どうして幽霊がーー」
怖がる佳奈をみて、梢女は笑いながら言った。
「そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ」
梢女はその後「呪いさん」について説明した。
呪いさんの魂は天国にあって、善良な魂であること。現世では役者をやっていた人で、人を驚かせることが好きだったので、梢女に協力していること。表情は見えづらいけれど、いつも微笑んでいて、立っているだけで、決して人を傷つけないということだった。
「要は、正真正銘の幽霊ってことじゃないですか!なんでこんなことできるんですか?それにこの方を使ってどうするんですか?」
佳奈はまだ震えが止まらなかった。
「決まってるじゃないですか。お客様の隣の部屋に『呪いさん』を出現させするんですよ。人間は幽霊が嫌いですからね。佳奈さんと同じで……それでもう隣の部屋に入る人はいませんよ。あと、これは私の能力です。信じられないでしょうが」
佳奈は頭が混乱しそうではあったが、「呪いさん」なら間違いない。ということは分かった。結局、梢女の提案に賛同した佳奈は、不安を抱えつつも、那楽華を後にした。
そして次の日の夜中、……名も知らぬ隣人の悲鳴がアパートに響いたのだった。
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