4-2 サウナーな女

「ちゃんとサウナもあるじゃない」


 化粧を落とし、体も洗った瑠美はサウナに直行した。


(これで準備よし!初めは最低八分)


 瑠美は無類のサウナ好き。いわゆるサウナーだった。


 瑠美がサウナの中段に座り、別に見たくもないテレビ画面に目をやっていると、赤い服を着た店員が入ってきた。見た目の年齢は瑠美と同じくらいで、長い髪を後ろで束ねた細身の女性だった。


 その店員は、瑠美の近くに来ると、笑顔で話しかけてきた。


「お客様、本日はお食事処のドリンク、一杯無料だそうですよ。ぜひ寄ってみてくださいね」


 こんな喉カラカラのサウナの中で、無料ドリンクの話を聞いて、行かない人間がいるだろうか。


 風呂から上がった瑠美はお食事処三途砂サントスに直行した。


「グレーフフレーツジュースです」


 ジュースを持ってきたのは、先程の店員だった。


「私、お客様のお悩みを担当いたします梢女と申します。こちらに座ってもよろしいでしょうか」


 瑠美がよく分からないまま頷くと、女性は一礼してから、瑠美の前に腰かけた。


「お客様、サウナはいかがでした?」


(なんだ。相談ってただのお風呂のアンケート?大げさね)


悩み相談と聞いて、少し身構えた瑠美だったが、アンケートだと分かり、少し拍子抜けした。


「ちょうどいい温度でしたよ。綺麗でしたし」


「そうですか。それではリラックスしていただけたのですね」


「ええー、まあ……」


アンケートなど早く終わらせたい瑠美は、適当に答えた。


「ではお話いただけますか?お客様のお悩みを」

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