入浴すると悩みを解決できる銭湯があるという都市伝説 那楽華の湯
北城 真
第1話 偽善
1-1 寝覚め
佐藤
今日も悪夢で目が覚めた。自分は呪われているのかと思うほど同じ夢を見る。高校時代にあったいじめの夢だ。と言ってもいじめられていたわけではない。いじめられていたのは、小学校の時の親友西尾
「なんだよ!二千円って……なめてんのか?おら!」
「ごめんなさい」
「昨日、五万持って来いって言ったよな」
四人のいじめグループがトイレに奏多を追い詰めるところだ。
「こいつ数字がわかんねえんじゃね。犬だから……」
「そうか……でも犬が服着てるなんておかしいよな」
「ごめんなさい。許してください」
「あれー……犬がしゃべったぞお」
そこから更にいじめはエスカレートしていくのだ。
今思い出しても吐き気のする陰惨ないじめだった。
誠也は気を紛らわせようと、部屋にあるテレビをつけた。
「くつろげる。癒される。浸かるだけで全て解決!日帰り温泉 那楽華の湯!ぜひ一度お越しください」
CM画面には「入泉料五百円 貸しタオルあり お待ちしてます」の文字が映った。
(今日は暇だし、行ってみるかな?)
スマホで「那楽華の湯」を検索すると、地図が出てきた。
「こんな近くって、行くしかないな」
誠也はベッドから起き上がった。
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