第55話 ヒロイン視点
……よくわからない。
遊園地は楽しかった。
お泊りも楽しかった。
でも、好きってなに?
なにがどうなったら好きなの?
……わからない。
でも、わからないなら調べれば良い。
お泊りした翌日、私は萩原さんを家に呼んでみた。
女の子の友達を入れるは初めて、正直言ってドキドキしてる。
何より、ある程度の事情を説明しないといけない。
幸い、彼女は受け入れてくれた……それどころか、私のために泣いてくれた。
和馬君の言う通りだった……萩原さんなら多分大丈夫だって。
「というわけで、どういうこと?」
「えっ、えっと……それは私の台詞だよ?」
「萩原さんならわかるかと思って。好きってなに?」
「わ、私もよくわからないよぉ〜。もしかしたら、綾崎さんよりはわかるかもだけど」
「ん、教えて」
「えっと、その人を見たらドキドキしたり。その人のことをついつい考えちゃったり……な、なに言ってんだろ、私」
「可愛い」
「ふえっ!?」
「今、凄く良い顔してる。つまり、そういう状態になるってこと?」
「うぅ〜よくわからないけどそうかも」
「ん、理解できたかも」
「それで、伊藤君にはどんな感じかな?」
「ん……ついつい考えちゃう。ドキドキはわからない」
「そっかぁ。もっと一緒に過ごせばわかるんじゃないかな?」
「でも、学校では迷惑かかる。彼は勉強に一生懸命。それに、妹さんもいる」
「うーん、そっかぁ……そしたら、勉強を見てあげたら良いんじゃないかな? そしたら伊藤君も助かるし、綾崎さんの目的も果たせるよね?」
「……萩原さんは天才?」
「あはは、そんなことないよー」
彼女は、私には見えてないものが色々と見えてるみたい。
……そうだ、あのことも相談してみよう。
「もう一つ聞いても良い?」
「うん、良いよー」
「実は和馬君にお礼がしたい」
「えっと、どういう意味かな?」
「彼にはお世話になってる。遊園地代だって払ってくれたし、お弁当だって作るとお金を払う。私はもらってばかり……それは公平じゃない気がする」
「公平…あ、相変わらずだね。うん、話はわかったかな」
「でも、私は家のお金でお礼するのは違うと思う」
「……ふんふん」
「お礼をするなら、私の身体で払うか……」
「ま、待って! それはダメ!」
「ダメ? バイトとかしたいって思った」
「そ、そういう意味ね! 確かにバイトで稼いだお金でお礼は良いかも」
「ん、でも私はこんなだから。受からないし、何処でやって良いかわからない」
「……良かったら、私が働いてる本屋さんに聞いてみようか?」
「良いの?」
「うん、聞くだけなら。今、人が足りてないし平気だと思うよ」
「ありがとう」
「だ、抱きつかなくても!」
「そんなことない。今日はありがとう。何かあったら、私が話を聞く」
「ふふ、ありがとう」
ただ、話を聞いてくれる人がいるって凄いことだったんだ。
何より、これで解決した。
あとは、行動してみようっと。
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