第34話 デート?

 ……あれ? 来ないなぁ。


 割と時間にはしっかりしたタイプかと思ってたけど……。


 そういや、お弁当作った日も息を切らしてきたっけ。


 もしかしたら……あっちも緊張とかしてたり。


 いやいや、そんはわけないよね。






 待ち合わせ時間から五分過ぎた頃……。


 周りの人たちがざわめきだす。


「お、おい?」

「めちゃくちゃ美人……」

「あれって、有名な女の子だよね!」

「うんうん! 寡黙な美少女って!」

「今日は特におしゃれして……あっ!」


 人々が何か言ってるのはわかる。

 しかし、俺の耳にはあまり入ってこない。

 とりあえず、目の前の女の子に釘付けになっている。

 春の陽射しに照らされた、白のワンピースを着た女の子に。

 長い髪はサイドテール?ってやつで……首元が見えている。

 うわぁ……美人さんだなぁ。

 とまあ、ありきたりなことを思ってしまう。


「ま、待った? ……和馬君?」


「へ、平気! 今来たところだし!」


「でも、顔赤い……怒ってる?」


「そ、そういうわけじゃ……と、とりあえず行こうか!」


「ん、わかった」


 目立ってるし!

 こんなのが彼氏とか思われたら可哀想だし!





 とまあ、歩き始めたは良いものの……。

 とりあえず、目立つことは諦めることにした。

 さっきから男女問わずに、綾崎さんを見てくるし。


「どこ行くの?」


「えっ? あぁ……えっと、綾崎さんがいつも行く場所とかある?」


「ここからだと駅中の本屋さんによく行く」


「あっ、あそこにあるTSUTAY○?」


「ん、あそこは良い。綺麗だし、カフェなんかもある」


「俺も行ったことあるけど良いよね」


 入り口の外には観葉植物とか、ベンチとかあってのんびりできたり。

 二階にあるので、駅の喧騒もそこまでじゃないし。

 一階には自由にピアノを弾ける場所もあったりで、人気のスポットらしい。


「じゃあ、まずはそこにしようか」


「ん、わかった」


 エスカレーターに乗り、本屋さんに入る。


「何か買う?」


「うーん……綾崎さんのオススメとかある?」


「オススメ……私ので良いの?」


「綾崎さんが選んだのが読みたいな」


「ん……それも観察のうち?」


「まあ……そういうことかになるかなぁ」


「ん、真剣に考えてみる。その代わり……和馬君も選んで」


「お、俺も?」


「ん、不公平。私は君のことが知りたい」


「わ、わかった。じゃあ……十分後に会計のところで良いかな? 予算は文庫本サイズで」


「ん、問題ない」


 そこでひとまず別れ、俺も本を探しに行く。


 さて……何を選んだら良いかな?


 ……なんか、こういうのってめちゃくちゃ楽しいかも。

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