第24話 クラスメイト達からの質問

朝のクラスの中で美玖が俺と同棲することになった事を暴露してしまい、朝から質問責めにあった。


昼ご飯を食べるのもわざわざ生徒会室で食べるようにして、クラスメイト達からの質問を回避した。


今は放課後になって、美玖の手を取りさっさと生徒会に行こうと思ったのだが……クラスメイトに阻まれて捕まってしまい、俺と美玖は席に座って、周りをクラスメイトが囲んでいる状態だ。


「さてと、これよりバカップルへの質疑応答を始めます。」


メガネをクイっと上げたメガネ男子はこのクラス委員長だ。名前は古谷 敦史(ふるや あつし)真面目ではあるけど、冗談も言ったりして皆を笑わせてくれる頼りがいのある奴だ。ただ、将棋に熱中していて将棋部に所属している。将棋に集中したいから生徒会には入る気がないらしい。


「いやいや、テンションがおかしいって……つーか、お前ら部活がある奴だっているだろ……。」


「だまらっしゃい!!有村さんみたいな可愛い女の子と幼馴染ってだけでも羨ましいのに、付き合って同棲して家で毎日仲良く突き合ってるなんて、うらやまけしからん!!」


「だから、皆テンションがおかしいんだっての!!それと輝弘!!顔が近い!!」


俺の両肩を掴んで謎テンションで迫ってきたのは野球部所属の渡部 輝弘(わたべ あきひろ)


輝弘はクラスの中で1番の親友と言って良い男子だ。入学式の次の日には仲良くなった。美玖と付き合っている事を根掘り葉掘り聞かれたけど、美玖の事が好きなわけではなくて、好きな女子に告るための参考にしたかったらしい。


輝弘は一年生ながら野球部のエース投手で、爽やかな見た目から女子にも人気があるんだが……さっきの発言を聞いて分かる通り、欲望に正直すぎてなかなか付き合えないようだ。


「渡部って爽やかなイケメンなのに残念な奴だよね〜。」


「マジで直球過ぎてドン引きなんですけど〜wでも、実際の所どうなん?ヤりまくり?」


杏奈の言葉に可奈が笑いながら言った。

可奈がとんでもない事を聞いてきた。

朝も聞かれた気がするのは気のせいか?


「それ、朝も聞かれたよ?猛とは毎日愛し合ってるって言ったじゃんかー。ねっ?猛❤️」


美玖が俺を見て言った。


「馬鹿正直に喋りすぎでない!?」


「その方が変な男が寄ってこないし、猛にも変な虫が寄り付かないから、この話を皆に広めて貰いたいもん。」


「変な虫って……。俺は別にモテないから、そんなことをしなくても平気だと思うけどなー。美玖以外の女性に魅力を感じないしな。美玖だけを愛し続けるつもりだし……。」


「あうっ!!もう〜、キュンキュンしちゃうよー❤️」


美玖が胸に手を当てて悶えた。


「うわー、美玖がメスの顔しちゃってるよ。まぁ、あんな事自然に言われたら女は無理だよねー。」


「美玖の愛をしっかり受け止められて、美玖の事を愛し続けられるのは高崎しかいないっしょ。……あーあ、美玖と高崎のせいでビターチョコ食べたくなっちゃったよー。」


「俺は関係無くね!?」


ていうか金澤と濱谷以外のクラスメイト達が白い物吐いてるけど、大丈夫か?


俺の傍で吐いていた輝弘と敦史がヨロヨロと立ち上がりゆっくりと俺の肩に手を置いた。

……ゾンビ映画みたいで怖いんだが!?目血走ってるし!!


「……猛。お前スゲーわ。」


「高崎。改めてお前らの恐ろしさを知ったよ……。」


2人は俺にそれだけを言うと倒れたのだった。


「普通に怖かったんだが!?……何だったんだよ。」


俺が倒れて白い物を吐いている2人を見ながら頭を抱えた。


すると美玖が立ち上がって美玖に手を握られた。


「ねぇ、猛。今日は重要な仕事が無いから生徒会は自由参加だったよね?……今日はお家に帰ろう?猛がキュンキュンさせるから、我慢出来なくなっちゃった❤️」


「はい!?待った待った!!冗談……では無いね。その目は本気だね!!」


俺を見る美玖の目を見て、このままだとここで襲われてしまうから、今日は先輩にメールだけしてから、帰るしか無い!!


「そのままキスしちゃえよ〜。」


「美玖キスして襲っちゃえ〜。」


金澤と濱谷が美玖に言った。お前らーー!!


「猛〜、キスしてよー。」

美玖に上目遣いで見つめられたら断れないことを知っていてやってやがるな!?

可愛い美玖からおねだりされたからキスしてしまった。


「んっ……んんっ❤️猛、大好き❤」


「……とりあえず帰ろう!!」


俺はいまだにヒューヒュー騒いでいる金澤と濱谷を背に向けて美玖の手を引き走って逃げたのだった。


……明日の学校が怖い。

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