第45話 決着


 ミカエル様が俺たちに気付くと


「もう終わるから待っていてくれ」

「はい......」


 ルシファーにトドメを刺す瞬間を見ようとしているところで、


「ミカエル!! 悪かった。こちらの情報を渡すから殺さないでくれ」

「......」


 その言葉にミカエル様は一瞬迷った。それをルシファーは見逃さずミカエル様に攻撃を仕掛けて距離を取った。


「本当に昔からバカだね。だから」

「黙れ」


 ミカエル様がそう言うと、ルシファーの元へ近寄って攻撃を仕掛けようとするが、避けられてしまう。


「もうミカエルはいいや。そこにいる人さえ殺せれば」


 そう言ってルーナの元へ近寄って行き、気絶させられる。


「ルーナ!!」


 俺はすぐさまルシファーに斬りかかるが避けられる。


「じゃあこの子はもらって行くよ」


 そう言って空を飛び始めて、この場から去って行こうとした。


(やばい......)


 このままじゃルーナが連れ去られてしまう。


(なんのために俺は力を手に入れたんだよ)


 その時、ロンドと話したことが頭によぎる。俺は英雄になりたいわけじゃない。ルーナやクロエを守るために力を手にしたんだ。


 今までの全力の力を使い空間転移(小)を使い、空中にいるルシファーの背中を掴む。そして、翼を斬り落としてルーナを抱きかかえながら


「ロンド!!」

「あぁ」


 落ちていくルシファーめがけてロンドがもう片方の翼を斬り落とした。それに続くようにミカエル様がルシファーの両手を斬り落とす。


「あぁぁぁぁぁぁ」

「今までありがとう」


 そう言ってミカエル様がルシファーにトドメを刺そうとした時、ルシファーがあたり一面に何か魔法を使おうとした。


(やばい)


 感が言っている。あれはやばい。それはここにいるみんなも感じているみたいで、顔色がこわばっていた。


 その時、ロンドだけが普通の顔をしていて、ルシファーに向かって


神聖光ゴットライト


 ルシファーが使おうとしていた魔法を打ち消して、ロンドはその隙を見逃さずにルシファーの首を斬り落とした。


「終わった......」


 ロンドがそうつぶやきながら俺たちの方へ駆け寄ってきて、肩を叩かれる。


「ルーナさんは大丈夫か?」


 勇者パーティの一員であり、賢者でもあるミロに見てもらう。


「大丈夫よ」

「ミロありがとう。ロンドも本当にあの時駆け寄って来てくれてありがとう」


 そう。あの時もう片方の翼を斬り落としてくれなかったら、逃げられていたかもしれない。そうじゃなくても、ミカエル様が攻撃することができなかったかもしれない。


「お前が何かする時ぐらいわかるさ。一応は元パーティメンバーだからな」

「そうか。それよりも最後に使った魔法はなんだ?」

「あれか......。俺もよくわからないんだが、なぜか頭に思い浮かんできたから使ってみたんだ」

「そ、そうなのか......」


 やっぱりこいつは勇者なんだなと実感をする。普通は、頭に思い浮かぶなんてありえるはずがない。すると、ミカエル様が


「後処理はあるけど、これで戦争は終わりね。一旦国へ戻りましょうか」

「はい」


 そして俺たちは国へ戻った。



 王室に戻ると、すぐさまラファエル様にルーナの状態を見てもらって、身に危険が無いかを確認してもらう。


「大丈夫よ。ただ気絶しているだけ」

「よ、良かったぁ」


 俺とクロエ、アミエルさんはホッとする。


「でも最低でも数日間は安静よ」

「はい」


 その後、エリクソンさんや加勢に来てくれたロンローリさん、ガイルさんたちに何が起こったのかを説明して、就寝した。


 翌日、ルーナが目を覚ましたため、俺たち全員で軽く国がどのようになっているかの情報整理をして一日が終わった。


 そこから数日間ミカエル様たちがエルフ国の警備などをしてくれて今回の騒動が終わった。


 そして、エリクソンさんに呼ばれて俺たちは王室に入ると、今回の件を話し始めた。まず、ミカエル様たちの話から天使国テウターの一件から考えて、主犯格は四魔神の一人、ルシファーが起こした。そしてルシファーの加勢としてアルゲがやってきたこと。そこから戦争が始まった。


 まず俺たちが倒した少年はアルゲの部下で有名な魔族であったらしい。そして、意識のある死者を蘇生したのはアルゲの仕業であった。


 まあこの件に関しては納得できていた。リーフを殺した時からルッツから色々と怪しげな情報を入手していたから。


 そしてルシファーたちと一緒にきた悪魔に関しては情報が何一つ得られなかった。なんせ、倒した死体は砂になり手掛かりがなく、調べることが出来なかった。


 その後も、今回の騒動を話していて、最後エリクソンさんが


「ミカエル様たち本当にありがとうございました。ラファエル様との条件はきちんと守りますので、いつでもお越しください」

「わかりました」

「そして、勇者殿。あなた方にも何かお礼をしなくてはいけないので、後日お話をさせて頂ければと思います」


 ロンドは頭を下げながら頷いた。その行動に俺は驚く。


(ロンドも成長したんだな......)


 昔のロンドなら、こんな行動はとらなかったのだから。するとエリクソンさんが俺に向かって


「メイソンくん。君にもお礼を言わなくてはいけない。本当にありがとう」

「いえいえ」

「それでだが数日後、重要な話があるから王室に来てくれ。ここにいる皆さんも来ていただけたらと思います」


 そう言って、今日の会議が終わった。


(話したいことってなんだろう?)


 そう思いながらも部屋を出ようとすると、ルーナとクロエはエリクソンさんとロンローリさんに呼び止められて王室に残ったため、俺だけが自室に戻ってすぐさま就寝してしまった。


 そこから何も無く数日間過ごしていると、ルッツくんに呼ばれて王室に行くと、白いドレス姿のルーナとクロエが立っていた。

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