エピローグ
王室に入ると、そこには国王様や勇者パーティ、ギルドマスターに宰相など国の中枢を担っている人たちが勢ぞろいしていた。それを目の当たりにした俺たちは、顔を見合わせながら
「どうなっているの?」
「私もメイソンのことでいっぱいいっぱいでワーズに何も聞かなかったから」
「不注意の無いように気を付けよう」
「「「うん(はい)」」」
俺たちの席に着くと、国王様が全員に目配せをした後、頭を下げて
「今回は、皆本当にありがとう」
「!!!」
全員が頭を下げられたことに驚きを隠せなかった。国王様が頭を下げるなんて滅多なことが無ければあり得ない。全員頭の中では理解している。今回がそのことであることぐらい。それでも、目の前でやられてしまうと反射的に驚いてしまうに決まっている。
「まずガイル、お主が最前線で戦ってくれなかったら今事この国がどうなっていたかわからない。本当にありがとう」
「もったいないお言葉」
その後も、国王様は一人ずつお礼を言い始めて、そして俺たちの番になり
「メイソンくん、そしてルーナ様にクロエ様、ルッツ様は元凶を倒してくれて感謝している。ありがとう」
国王からの言葉をいただき、全員で頭を下げる。
「今回の一件、そしてエルフの国および狐獣国を助けたことを配慮し、メイソンをこの国での英雄として認める」
すると、ここにいる全員が驚きながら俺を見つめてくる。
「ありがたき幸せ」
昔なら、ここで拒絶していたかもしれない。だけど、もう今は違う。俺は俺がなすべきことをするために、この称号が欲しいんだ。それはこの国やエルフの国、狐獣国だけでなく世界中で言われるような英雄として。
「もし困ったことがあったら私を頼ってくれ。力を貸そう」
「ありがとうございます」
そして次はロンドたちの方を向いて
「ロンドたちもいろいろとあったが私の護衛、そして国を救ってくれてありがとう」
「......」
それを聞いたロンドたちは腑に落ちないような表情をしていた。
(まあそうだよな)
ロンドたちがスタンピードを起こしたわけではないが、結局ロンドの軽率な行動や、洞察力があれば今回みたいなことは起きなかったかもしれない。
「今後のことはまた後日話そう」
「わかりました」
「それと皆も、今回の報酬や今後の対応は後日発表する。本当にありがとう」
そして王室を後にして屋敷に戻ろうとした時、ガイルさんに肩を叩かれて
「メイソン、それにルーナ様とクロエ様、本当に今回はありがとうございました」
「こちらこそありがとうございます」
「後で、ギルドに来てください。こちらの話もありますので」
「わかりました」
すると、ガイルさんは俺に近寄ってきて
「本当に助かった。メイソンが居なかったら今頃ランドリアはどうなっていたかわからない」
「いえ、ガイルさんがいたからですよ」
そう、結局俺がスタンピードで戦ったのは最後だけであり、ほとんどがガイルさんや冒険者のみんな。だからお礼を言いたいのは俺の方だ。
「......。これが英雄か」
「あはは」
ガイルさんは笑いながらこの場を去って行った。そして俺たちも続くようにこの場を後にして、屋敷に戻った。
★
来賓室で雑談をしている時、ルッツがハッとした表情で
「あ!」
「ルッツ! いきなり大声を上げないの!」
「ごめんなさい」
ルーナに叱られて、一瞬シュンとした顔をしたがすぐ
「俺を攫った理由を説明してなかった」
「あ~」
そう言えば、ルッツから聞こうと思っていたけど、ロンドたちが屋敷に来たり、王宮に呼ばれたりしていて後回しにしていたわ。すると、ルーナが
「理由ってなに?」
「エルフの国と魔族が戦争をするため」
「「え?」」
ルーナやクロエは驚いた表情をしていが、なんとなく予想はついていた。王族を攫うということはそれぐらいの覚悟があるってことだ。
「そして戦争が起こったら、交友のある人族も戦わなくちゃいけない。それで戦争の連鎖を起こそうとしていたはず」
「......」
「そして、一番重要なことはここからで、僕が囚われていたところで実験をしていた真なることは確か、世界中に死んでいる神話の人物とかを蘇らせて自由自在に操ること」
「それは本当なのか?」
ルッツが言ったことが本当なら、それはあまりにもやばいことだ。神話の人物なんて一人でもやばいのに、大勢が蘇って自由自在に操れたら種族間のバランスは崩れてしまうに決まっている。
「多分ね......。僕も
「......。ありがとな」
その時、ルーナとクロエが俺の背中に手を当てて
「じゃあそれを私たちが止めよ」
「そうね。やることは変わらないんだから」
ルーナやクロエが言う通り、俺たちがやることは変わらない。困っている人を助けること。その相手が神話の人物だろうが関係ない。
「そうだな」
すると、二人は笑顔で見つめ合いながら
「これから大変になるね~」
「そうだね!」
「あぁ」
この先、どれだけ大変な道のりだろうと二人と一緒なら必ず成し遂げなれるさ。そう思いながら二人を見つめと、二人は首を傾げながらこちらを見ていた。
(二人とも本当にありがとな)
心の中で二人に感謝しながら、今後の方針を固めていった。
※
ここから、本当の意味での英雄としての成り上がりが始まるのであった。
★
なろうで先行投稿していますので、もし早めに読みたい読者様がいましたら、なろうに来ていただければ読めると思います。
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