第8話 スタンピート開始
ロンドは俺に問いかけてきた。
「メイソン、なんの騒ぎだ?」
「モンスターが押し寄せてくるらしい」
「へぇ。じゃあ頑張れよ」
なぜかロンドはそれを聞いても平然としてこの場から去って行こうとした。
(は?)
モンスターがランドリアに押し寄せてきているんだぞ? 普通助けるだろ? なのになんでそんな平然としていられるんだ? 俺はロンドの肩を掴む。
「ちょっと待てよ! ロンドも一緒に戦うよな?」
「は? 戦うわけねーだろ。まあ、ランドリア内部に入ってきたモンスターぐらいは倒すだろうけどな」
「......」
そこで心底ロンドを軽蔑する。勇者や上位冒険者が率先して戦いに行くのは当たり前のことだろ。それなのにこいつは......。
「こういうのはお前たちの仕事だろ? 俺たちの仕事じゃない。俺が倒すのは魔王であってモンスターの群れじゃない」
「違うだろ! お前は国民を守るのが仕事じゃないか! その為にモンスターの群れと戦ってくれ」
すると、俺を突き飛ばして
「だから、そう言うのはお前がやれよ! お前みたいなやつは最前線で戦っていろよ。俺もランドリア内で戦うからさ」
「......。もういいよ」
俺はそう言って、この場から去って行った。
(何なんだよあいつ)
お前はこの国に恩が無いのか? 勇者であったから国王様はお前にいろいろと支援をしてくれていたじゃないか。それなのに最前線で戦わないって。
(クソが)
「ねえ、勇者ってあんなにクズなの?」
「そうだな」
今までなら、こんなこと言わないが、今回に限ってはロンドのことを心底クズ野郎だと思った。だが、ルーナは平然とした表情で
「そんなことわかっていたことでしょ。あんな奴に頼らず私たちは私たちでやりましょう」
「そうね」
「あぁ」
その後、俺たちは宮廷騎士に報告をして、高台でランドリアの警備に回った。
★
一日目は特にモンスターたちがランドリアから見えなかったが、二日目にはちらほらとモンスターがランドリアに向かってきているのを確認する。
「皆さん! 来ました」
「わかった」
俺の合図と同時に一人の冒険者が鐘を鳴らす。すると、ランドリアに居た冒険者が続々と外へ出て行き、戦闘態勢に入った。
「俺たちも行くか」
「「うん」」
三人で高台から降りて、外へ向かおうとした時、ガイルさんから言われる。
「メイソンたちはランドリア内を守っていてくれ」
「え? なんでですか!」
理解ができなかった。モンスターと戦う人数は大いに越した方がいい。それなのになんで俺たちがランドリア内にいなくちゃいけないんだ。
「お前たちならわかっていると思うが、今回はスタンピートだ。だから、ランドリア内の警備を厚くしておかなくちゃいけない」
「それはロンドがやってくれるじゃないですか」
そう、あいつはランドリア内に残ると言っているのだから、あいつにやらせておけばいい。
「俺はお前たちを信用して頼んでいるんだ。頼む」
「......」
するとルーナが
「では、外が危なくなったら私たちも向かいますけど、いいですよね?」
「あぁ。本当に助かる」
ガイルさんは深々と頭を下げた後、外へ出て行った。
「メイソン、私たちは私たちでやれることをしましょう」
「わかったよ......」
「それに、少し疑問なところもあるし」
「え?」
(疑問なところ?)
「うん。普通スタンピートって食糧不足とかで怒るのが普通なんだけど、今回は違う。それってエルフの国と似ていない?」
「あ......」
言われてみればそうだ。モンスターだって食事はするが、今の時期に食事不足へなることは無い。
(誰か主犯格がいるってことか?)
「だから、私たちは私たちでやれることをしましょう」
「あぁ」
こうして、俺たちはランドリア内を捜索し始める。
探索に入って初日は、特にランドリア内に変なところが無かったが、三日目になった時、路地裏でうっすらとだが魔法が使われた痕跡の後を見つける。
(なんでこんな場所で)
路地裏で魔法を使うなんてありえるはずがない。それなのになんで......。
そう思っている時、後ろからフードを被った人が数人こちらへやってきて、いきなり攻撃を仕掛けて来た。
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