第6話 勇者を助ける
ルーナはすぐに俺とロンドに対して、
俺の攻撃がミノタウロスの足の指を斬り落としたが、斧を横に振って壁にぶつかる。その攻撃の衝撃で壁から岩が飛び散り、ミノタウロスが後ろへ後退していった。
「ロンド、大丈夫か?」
そこで、ルーナが
俺はロンドにそう言いながら手を差し伸べると、手を振りほどかれて自ら立ち上がった。そして、俺を睨みつけながら
「お前に助けられなくても何とかなったんだよ!」
「そ、そうか」
「あぁ! 誰が助けてくれなんて言った!」
「わ、悪い」
その時、ルーナとクロエの顔が激怒しながらこちらへ近寄ってくる。
「メイソンが居なければあなた死んでいたのよ?」
「そうだよ!」
「そんなことない。何とかなったに決まっているだろ!」
そこで、ルーナがロンドを叩こうとしたので、止める。
「ルーナ、今はミノタウロスが優先だ」
「そ、そうね」
ロンドたちと喧嘩をしたところで意味がない。そんなことをして、ルーナやクロエが危険にさらされる方が俺にとっては困る。
それに、今は目の前にいるミノタウロスが最優先だ。こいつを倒さない限り、俺たちが生きて帰れることは無い。
「クロエ、ルーナいつも通り頼む」
「「うん」」
そして、俺たちが攻撃を仕掛けようとした時、ロンドに止められる。
「これは俺たちの獲物だぞ! お前たちに譲るつもりはない!」
(こいつ、まだそんなことを......)
今は獲物云々じゃなくて、生きてここから出て行くのが最優先だろうが!
「だったら、倒したミノタウロスはロンドたちに譲る。だからまずはこいつを倒そう」
「お前たちと手を組んでか? 笑わせるなよ!」
その時、シャイルとミロが俺たちの元へやってきて言う。
「ロンド、ここは一旦力を借りよう」
「そうですよ」
「は?」
ロンドはシャイルとミロを睨みつけた。
「今は手っ取り早く倒すのが良いと思わないか?」
「そうです。メイソンたちを利用して倒すのもいいじゃないですか」
「.......。わかったよ。迷惑だけはかけるんじゃねーぞ。メイソン」
「あぁ」
そして、シャイルとクロエ、そしてロンドがミノタウロスの方向へ向かって行った。それに乗じて俺もミノタウロスに略奪を使用する。
・身体強化(大)
・薙ぎ払い
俺がスキルを奪った瞬間、ルーナがクロエに
「「「!?」」」
勇者パーティ全員が俺たちを驚いた表情で見て来ていた。
「メイソン!」
「わかっている!」
先ほど盗んだ身体強化(大)と高速を使って、ミノタウロスの首を斬り落とす。
「は?」
ロンドはあっけらかんとした表情で俺を見てくる。そして俺の方へ向かってきて
「お前、今何をした?」
「普通に首を斬り落としただけだけど?」
すると、ミノタウロスを蹴り飛ばしながら
「そこじゃない! なんでミノタウロスの動きが悪くなったんだって聞いているんだ!」
「前にも言ったが、略奪で敵を弱らせたんだ。厳密にはミノタウロスのスキルを奪った」
それを聞いたシャイルとミロは驚いていたが、ロンドは
「嘘をつくんじゃねーよ。お前はただの荷物持ちだろうが!」
「だから......。まあいいよ。信じたくないならさ」
「はぁ。まあいいさ。ミノタウロスのアイテムだけはもらって行くからな」
そう言って、ロンドたちはこの場から去って行った。
★
ロンドたちが去ってから少し休憩を挟んでいる時
「本当にアイテムを持っていかれてよかったの?」
「まあ、受付嬢が助けてやってくれって言ってたんだから何とかなるでしょ」
普通なら、アイテムを取られたらどうしようもないが、今回は受付嬢からロンドの護衛をしてほしいと言われていたから何とかなると思う。
「そっか。それにしても勇者......。あの人なんなの?」
「あはは。まあそれはしょうがないよ」
そう、もうしょうがないんだ。今からロンドの性格が治ることは多分ない。
「本当に関わりたくない」
「だな」
それについては俺も同感だ。なんで勇者パーティに居たのかすら、俺も少し疑問に思うぐらいだ。
「まあ、早めにランドリアへ戻ろ」
「そうだな」
「うん!」
こうして、俺たちはランドリアへ戻っていった。
※
この一件で、ロンド以外の勇者パーティのメンバーが、俺の事を少しずつだが認め始めていた。そして、ロンドは俺の力を認めなかったことで、ここから始まる最悪の事態を招き入れるのであった。
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