第10話 エルフの国の情報


 シャイルが怪訝そうな表情をしながら話しかけてくる。


「あ、メイソン」

「あぁ。久しぶりだな」


 少し気まずいながらも、平常心を保ちながら答えた。


「今は何をしているんだ?」

「冒険者だよ」

「お前が冒険者? 笑わせるなよ」

「そうですよ! 荷物持ちのあなたが冒険者なんて」


 二人はそう言いながら、俺を笑い始めた。すると、クロエが俺を庇うように言った。


「お二人はまだメイソンの実力に気付いていないんですか?」

「多少荷物持ちより多く荷物がを持てて、少し戦闘ができる奴の何が実力だよ」

「そうですよ」


 ルーナはため息をつきながら


「はぁ~。まだ気づいていないんですね。可哀想な人たち」

「は?」

「あなた方もメイソンが抜けてから少しは感じた事がありませんか? モンスターが強くないか? とね」

「......。ロンドも言っていたが、メイソンが抜けてから戦ったモンスターたちが強かっただけでメイソンの実力なわけじゃねー」


 シャイルの言ったことに、ミロも頷いていた。


「まあ、いいでしょう。時期わかりますよ」

「そうかよ。そうなる日が来るのを楽しみにしているさ」

「じゃあな......」


 俺は、二人にそう言ってこの場を去ろうとした時、ミロから言われる。


「元仲間の吉見です。良い情報を教えてあげますよ。エルフの国に魔族が現れたって情報が流れて来ています。もし冒険者なら助けに行ってあげれば?」

「え?」


 俺は横に立っているルーナの顔を見ると、真っ青になりながら少し震えていた。二人はルーナを見て満足したのか、立ち去って行った。


「ど、どうしよう。どうしようメイソン、クロエ......」

「どうするって、助けに行かなくちゃだろ」

「狐獣国を救ってもらったのに、助けに行かないわけないじゃないですか!」

「でも、信ぴょう性も無いし......」


 俺はルーナの頭に手を置いて、言う。


「信ぴょう性がある無いじゃないだろ? 困っているんだろ?」

「うん......」


 すると、ルーナは涙を流しながら俺たちに頭を下げた。


「力を貸してください......」

「あぁ。でも力を貸してくださいじゃないだろ? 俺たちはもう仲間なんだから」

「そうですよ!!」

「うん。助けて」


 ルーナの問いに対して、クロエと一緒に頷いて了承した。


「じゃあ、明日にでも経とう。時間が遅れたら取り返しのつかないことになるかもしれない」


 俺たちは一旦、宿屋に泊まって翌朝を待った。その夜、俺の部屋にノックがした。


「メイソン?」

「ルーナか? 今開ける」


 扉を開けると、今にも泣きそうな顔をして立っていた。お互い、ベットに座り、問いかける。


「どうした?」

「ずっと頭の中でルッツのことを考えちゃって......」

「......。ルーナ。今は何も起こっていないことを信じよう。それにミロの言ったことが嘘である可能性もある。だから今は明日、どう行動するかを考えよう」

「うん。でも......」


 俺は、そっとルーナのことを抱きしめながら頭をなでた。


「大丈夫だから。今は目の前のことに集中しよう」

「う、うん」

「あぁ」


 すると、顔を赤くしながら言った。


「今日は一緒に寝ても言い? 怖くて......」

「あ、うん」


 流石にこの状況で断ることもできず、了承をした。そして、少し雑談をしたところでルーナは就寝してしまった。


(よかった......)


 少しは安心してくれたようでよかった。明日、体調が悪い状況でエルフの国へ向かうのはリスクがあるしな。そして、俺もその後すぐに就寝した。


 翌朝、目を覚ますとルーナは顔を真っ赤にしながら布団に隠れていた。


「メイソン、ごめんね」

「いいんだ。それよりも落ち着いたか?」

「うん。メイソンのおかげでね」

「それはよかった」


 すぐに部屋を出て、食堂に向かうとクロエが座って待っていた。


「あれ? いつも集まってから来ていたの?」

「いや......」

「まあいっか。それよりも今日から宜しくね」

「クロエにメイソンごめんね。ランドリアについてすぐに向かうことになっちゃって」


 すると、クロエはため息をつきながら言った。


「もう謝んないの! 仲間なんだから! それに私も助けられたんだからお互い様でしょ」

「うん。ありがと」


 軽く軽食を取った後、ランドリアを出ようと歩いていると、ランドリアの門でギルドマスターが立っていた。そして俺たちに気付くと、駆け寄ってきて話しかけられた。


「メイソン、そしてルーナ様。伝えたいことがある」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る