第4話 夢

「見てみて大河~。このひまわり、すっごくきれいじゃない?」

「おいおい葵。はしゃぎすぎだろ~。俺たちもう幼稚園生じゃなくて、

小学生だぞ。」

「いいじゃんいいじゃん。だって私、大河と一緒にこんなきれいな景色みられて嬉しいんだもん。」

そう言ってほほ笑む葵と俺の目の前には、何百ものひまわりと、雲一つない青空が

広がっていた。

「それとも大河。こんな私は嫌い?」

なんだよこんなの。反則じゃねーか。そんな泣きそうな顔して上目づかいで見つめられちまったらダメなんて言えねえよ。そんなことを考えていると、

「大河せんぱ~い。起きてください。早く起きないと遅刻しますよ~。」

そう言って俺のことを呼ぶ声が聞こえた。

「ごめん。起こしてくれてありがとう。凛花。」

「いえいえ、これくらい当たり前です。一緒に住ませてもらっている以上。そう言えば先輩。幸せそうな顔で眠ってましたけど、どんな夢を見ていたんですか?」

「ああ、あれは、昔の夢を見ていたんだ。あいつと、葵と初めて、二人で遊びに行った日の。」

そういえば、あの時、葵が浮かべた笑顔と、昨日の凛花の笑顔、似ていたような気がするな。あの時の、あの笑顔で俺はあいつに惚れちゃったんだっけ?あれ、

「ていうかお前、いつからこの部屋にいたんだよー。凛花ーー。」

「10分くらい前から寝顔見させてもらってましたがダメでしたか?」

「当ったり前だろーーーー。」

その日の朝、俺の家から情けない叫び声が聞こえてきたことは、近所に住む主婦たちの話のネタになったのだった。

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