~終章~

 打ち破られた心臓の前に、磯に打ち上がる醜があり、さらに遡ると空に舞う花弁やいじらしい無垢な二人、そして一通の手紙も。もっと昔にはヴァレンシュタインの背後の壮観な景色、それに結びつく古びた映画館。何よりも美しい月夜、記憶に深く刻み込まれている。それらは一体どこからやってきたのだろうか。何が起きていたのだろうか。


 まず音が生まれた。周囲が騒がしい。数人の人間が口々に何かを喋っている。俺は考えようとした。しかし、先は感覚だった。様々な布が体に巻き付けられ、数本の細い管が体に侵入している。違和感であったが、奇妙というだけで痛みは伴っていない。それよりかは全身の倦怠感が際限を知らないようだ。俺はどこかに寝ているのだが、ほんの少しでも体を動かすことが出来ない。やがて薄っすらと瞼に光が差し込み始める。久しぶりのことであり、目が慣れていない。すると周囲のざわめきが静かに収まった。固唾をのんでいるようだ。


 俺はその中で目を開く。そして思いもよらない光景を見た。真っ白な天井に、覚えのある医療機器。あぁ、俺は病室にこうして横たわっていたのか。それにしても、周囲の表情と言ったら驚愕を体現したかのようだ。え? おいおい、そんなこと聞かないでおくれよ、彼女がいるわけないさ。

 そう思うと、俺の意識が落ちた。


 もう一度目を覚ましたのはそれから六時間も後のことだったと言う。その時にはかなり気分が晴れ晴れとしていた。少なくとも、彼女を振った直後よりはまだまともだった。直後、傍にいた母が病室を飛び出て、少し後に医師と共に帰ってきた。医師はこちらを観察するように近づき、優しく俺の身体に触れ、自己紹介をする。俺はまばたきで返事をした。すると、次は俺に名前を尋ねてくる。意識か記憶の確認だろうか、俺は答えようと喉を広げた。しかし、俺の声はかすれきっていた。場違いな空気音だけが医師に伝わったのだ。そのため、話すのは難しいかという新しい質問に軽く頷いた。その後、肯定なら首を縦に、否定なら首を横に振るようにと医者が指示し、俺に質問を重ねた。本当にそれらは簡単な質問だった。二次関数の問題でも出されたらどうしようと吞気に考えることができた。そして医師は俺の横にある医療器具や手元の資料を確認し終えると、これまでの温和な表情とは一変して、深刻な顔つきである話を始めた。


 どうも医師の話によると、俺は交通事故にあったらしい。自ら危険を顧みず車道に飛び出し、車に跳ね飛ばされたと。その時、俺は咄嗟に思った。それならこちらにも非があるのだから医療費の負担が家計に響くだろう。とても下らなかった。正直なところ、死んでしまっても構わなかったと思う自分が胸中にあった。いやなに、自殺までは思っていないが、それが運命であれば容易く受け入れられた。そういう話だ。しかし、医師から更に事を告げられた時、瞬く間に俺は戦慄した。


「その……、君の両腕なんだがね。事故の時にコンクリートに一番叩きつけられた箇所で、そのまま回転もしていたものだから、こう神経が損傷してしまい……、とどのつまり、君の両腕はもう使えなくなってしまった」


 医師は申し訳なさそうな顔をしていた。勿論、責め立てたりはしなかった。代わりに頭が混乱で溢れかえった。現実の咀嚼が途切れ、胸の鼓動が激しくなる。俺は両腕を交互に見比べた。どちらも重厚に包帯が巻かれている。構わずに俺は腕を持ち上げようと力を込める。だが、無理だった。体から腕が切り離されたようだった。血の気が引く。そして、自然と呼吸が荒くなり、激しい頭痛が俺を襲った。医師が慌てふためいて俺の肩を押さえ、大丈夫ですからとおまじないの様に何度も繰り返す。しかし、俺の混乱は静まらなかった。あまりの痛々しさに俺は意識に手をかけた。意味が分からない。神はなぜ俺をこうまでして生かしたのだ? 両腕が使えないなら、俺はどうやって文字を書けばいいんだ⁈

 そうして意識を突き飛ばした。

 

 再び目を覚ましたのはその翌日だった。その頃には流石にすっかり落ち着いていた。駆け付けた医師と俺は意思疎通を図り、昨日と同じ説明を受けた。状況判断がしっかりできるようになった俺は医師の説明の途中で思い出したかのように、学校への連絡の有無を聞いた。声の調子は戻っていなかったが、相手もどうにか聞き取れたようで、口ごもりながら詳細はまだだねと言った。それは好機だった。俺は医師に枯れながらも強い語調で、どうにか交通事故などとは伝えないでください、風邪をこじらせたとでも言ってくださいと必死に懇願した。医師は困り果てた顔で、規則だからと呟いた。俺は唸った。そして代わりに、なら生徒には知られないようにしてと先生に言っておいてください、と頼んだ。医師は頭を搔きながら頷いて了承した。それで俺から喋ることはなくなった。


 その日から俺の入院生活は始まった。ありがたいことに個室を与えられていたし、両親は積極的に会いに来てくれた。俺は親に、詫摩と古川だけにはこのことを伝えるよう催促し、それからは詫摩と古川も高い頻度で見舞いに来てくれた。個室は外の山々が一望できる場所で目の保養にはとても良かった。それに映画のディスクを再生する機械やCDプレイヤーもある。両親が断りなく俺の部屋に押し入って、映画やQueenのアルバムを病室に持ってきた。しかし、それらには段々と埃がかぶさっていった。食事はあまりおいしくない。栄養があるのは理解できるが質素だった。それでも不思議と食べ物が胃に入った。うん、少しはすっきりとしていた。それと、救いは院内に付設しているうどん屋だ。あそこは桁違いに美味だ。

 

 とにかく、別段困ることは何も無かった。ただ一つ俺に分からなかったのは与えられた時間をどう使えばいいかだった。世の人は勉強でもしたまえと言う。それはその通りだ。だが、今に合わない。大体、そう、俺はもう文字が書けないのだ。その深い喪失感が体にべっとりとへばりついている。医師、家族、そして詫摩と古川が慰みの言葉を色々かけてくれたし、来週なんかカウンセリングまで予約されている。しかし、本当に必要なのは……。


 そう思う頃には、俺は考えるのをやめるよう意識していた。そうしなくては何の為に医師にああ釘を刺したのか分からなくなる。俺は窓の外に目を向けた。景観はすっかり秋模様。青々とした葉は紅に色を染め直している。俺は見た。ずっと先の方にある小山の頂、そのもっと向こうに学校がある。そして、その度にほろりと目尻から水滴を落とした。


 ある時、古川が俺の下を訪れていた。不断なら詫摩と一緒であったが今日は違った。基本、詫摩と古川が見舞いに来た時、俺たちは学校の話で盛り上がっていた。まぁ、やはり詫摩は話を脚色する才に恵まれていた。一方、古川というのは聖書の文句を空で言うばかりで、つまらないとは言わないが少々むず痒いところがあった。だから、最近は俺が別途でコピーを取っていた彼女の小説を読ませている。彼女? あぁ、そうだよ、北条詩織さん、お前が愛した末に手放した女性だよ。

古川がそれを読んでいる間、その構図自体は気に入らなかった。俺は自分の力だけで彼女の小説を読むことができない、それが苦しく、悲しかった。しかし、彼女の文についてはその限りではなく、相も変わらず美しかった。彼女は口よりも手を使って多くの物事を語る。それは時に雄大で、時に繊細だ。よくよく琴線に触れる優れた小説家、もっと言えば芸術家である。何しろ、彼女が情熱をもって原稿用紙に向き合う姿を俺はピアニストと同一視していた。


 また、表現が写実的かというとそうではない。むしろ、情景でさえ曖昧に表現する。彼女は何か究極的な理想というのを持っており、恐らくそれが説いて聞かせられるものではないからのだろう。ただそれが行き過ぎて、その何かをひた隠しにしているのではないか、と思える部分もままある。兎にも角にも、第一に俺は彼女の精神性を褒めたたえたいのだ。


 古川の声によって俺の認知の中で織りなされる文章はある種の音色のようで、俺を至極うっとりとさせた。感動することもあれば、より高みを想像することもある。いずれにせよ、至上の喜びたるものを思い浮かびあがらせるには十分だ。それは俺も小説を書く者だからといった程度の事ではない。さっきも使った、精神性。そうなのだ、精神性だ。彼女にしても、俺にしても、精神性というのは決して変わる事のない不変の魂! 自分で文を生み出すことが出来なくなった今、はっきりとそれへの親和性を感じている。共鳴している。だからこうも心が惹きつけられるのだ!

俺は自分の中でそう思いながら突如金切り声を上げた。古川がわっと驚く。それは俺の眼中にはなかった。俺の眼には、希望に満ちた立派な夕焼けがあった。


 ふと玄関先で呼び鈴の鳴る音が聞こえた。前の招かれざる客とは違う、その律儀な態度が私は不思議だった。家には私と楓の二人だが、都合よく一階にいるのは私だった。玄関へ向かう。日常を基準に考えれば、来客の目的は女と男のどちらかである。でも、今日は違った。虫の知らせの様だった。不思議、久しぶりに顔が綻んでいる。

 ドアを開けると、そこには予想だにしない人物が立っていた。少し気の早い冬服に身を包んだ詫摩悠があった。私は一瞬目を丸くし、胸に手を置いた。私は特に嫌わっているわけではない。むしろ、この特異な性格を好いていた。しかし、この男が私を訪ねる日があるなどと一度たりとも想像しなかった。何かがおかしかった。仮にも彼が私に何か伝えたいことがあるにしても、伝言という手段を使うような人柄には思えないから。

 私はぎこちなく髪をかき上げ一言、

「入っても構わない」

 そう言われると、詫摩悠は躊躇いながらも深呼吸をした後に一歩踏み出した。私と詫摩悠は和室に向かった。階段で丁度楓と出くわし、詫摩悠と楓が互いに不自然な挨拶を交わした。その姿に私はより一層心が乱された。


 詫摩悠を和室に通すと、私は菓子と湯吞を取りに調理場へ向かった。そして、手早く用意を整えると、詫摩悠の下へ向かった。よもや復縁を望みに来たのだろうか、などと私は思った。冷静に考えれば、それがあまりにも愚かな想像であるのは明白であった。それでも何となしにここを訪ねた詫摩悠の様に私の足も躊躇いを示した。


 戻ってきた私を見て、詫摩悠は困惑した表情でお膳を見つめた。しかし、頭を左右に振って拳をぐっと握りしめた。私は詫摩悠の前に菓子と湯吞を置き、向かい合わせになって正座を組む。異様な一時が持たらされた。どちらが先に口火を切るか、これに正解はない。ただどちらも待っていた。とりわけ、私は必要のないことを耳にしたくないという思いがあった。彼を振ったあの日から、私は猛省していた。どういう結果であれ、少なくとも思慮を持ち、順序を重んじるべきだった。けれども、謝るに謝れなかった。私には機会が分からなかった。


 詫摩悠は菓子から爪楊枝を取り出したが、菓子と湯吞に手をつけようとはしない。ひたすらに爪楊枝を指で押していた。顔が痙攣している。よほど何かまずいことを言おうとする人間のそれだった。時間が経つにつれ、私の不安と男の緊張は部屋の中で膨張していった。いつまで続くのか誰にも分からない。故にきっかけは些細なことだった。

 折れた。場にそぐわない間の抜けた音を立てて爪楊枝が折れた。詫摩悠はその折れた爪楊枝を持ち上げ、熱心に見つめた。決意が固まったようだった。

 詫摩悠はくぐもった声で話を始めた。

「えぇ、久しぶりです。詫摩です。あなたはやはり私達のことを好ましく思っていないかもしれませんが、どうもあなたにしか頼めないことがあってここを訪ねたのです」

「そう……」

 私は言った。すると、詫摩悠が顔を下げた。私の返答は良くなかった。

「私はあまりあなたと凛堂の間に何があったか知りません。あいつは何も話さないものですから。しかし、あなたにも知らないことがあるでしょう。それは、そのですね、あいつから口外しないよう念を押されているのですが……」

 そう話すうちに、折れた爪楊枝の先が机上に落ちた。詫摩悠はその時に爪楊枝が折れていたことに気が付いた。男は口調を戻した。

「あぁ……、そうなんだよ。言ってしまえばどうなるか分からない。しかし、俺は言うべきだと信じている。あんたや凜堂だって勇気を出して事を口にしたことがあるだろう? 俺はそうなんだよ、その心持なんだよ。いいか、凜堂は……」

 詫摩悠はまたもや言葉を詰まらせた。その様子を見て、私にも胸騒ぎが起こる。血潮が鮮明に吹き上がるような騒ぎ。そういえば、引っ掛かりは既にあった。それは常に私の後を追っていた。眼で見える形としては影。光に照らされる所では影を隠せない。どうしても映ってしまう。そして、今、その役目を果たしているのは紛れもなく詫摩悠だった。私は男の額を見つめる。一言一句逃さず話を聴く、そういう心構えを抱いたから。

 ほどなく詫摩悠は白歯を見せながら右腕を伸ばし、私を指差した。

「凛堂は恐ろしいものに遭遇してしまった。あんたがどう思うかわからんが、それは友人ハインの片鱗だった。畜生、上手く言えない。しっかりと喋れない。でも、俺の行動原理は善意ですぜ。さぁ、聞いておくれよ。あのな、凛堂は事故に巻き込まれた。車に引かれたんだ。現場にいたわけじゃないが、かなり凄惨な状況だったろう。何せ、凛堂の両腕がずたぼろになってもう動かなくなってしまったんだ。その話を聞いた時、俺は泣いてしまったよ。ところが、凛堂はその素振りを見せようともしない。きっとあいつは自分の中で物事を処理しようとしてるんだ。だがそんな試みが上手くいくはずがない。あまりにも無謀だ。そこで、俺はあんたに――」


 ――私は途中で詫摩悠の声を無くしてしまった。両目が義眼のように冷たく固まった。生涯忘れることのできない感覚、二度と味わうこともないと思う。それが波紋状に心で広がっていき、私を侵蝕した。私はがたがたと震え出す。どういう反応を選べば良いのか判断できなかった。彼に跪き、懺悔しなくてはならない。そう思う反面、彼と私が真に望んでいるのはそうではないと感じる。ところが、自分が冷静であると断じきれなかった。

「頼む、凛堂に会ってくれないか!」

 その言葉だけふっと耳に届いた。体に火が灯る。すると、たちどころに感情が一直線になった。私は勇気づけられたのだ。意識するよりも早く立ち上がる。詫摩悠がそれを凝視する。しがらみが私の中で解かれた。何も怖くなかった。そう、私は彼に会いたい。

 足が自ずと前に動いた。最初はゆっくりと、でも次第に速度が上がっていき、いつの間にか私は駆けだしていた。彼の下へ向かう決意が生まれた。和室を抜け、豹のように走って玄関に向かう。無造作に靴を取り出し、雑多に履き抜くと、私は扉を放った! 赤みがかった空が私を迎え、二羽の鳥が空へ昇る。私の影は家を飛び出した。

「そうだっ、走るんだ! あいつにはあんたしかいないんだ!」

 私は重ねて勇気づけられた。そのことに胸がいっぱいになった。

「ありがとう!」

 後ろを振り向き、大きな声で詫摩悠に手を振った。そして私はもう二度と後ろは振り返らなかった。坂を下り、住宅街に入る。鈍った体にかかる負荷が全然気にならない。そのおかげで私はあなたのことをずっと思うことができる。あなたが心配でたまらない! 大丈夫なのだろうか。今、あなたこそ氷の薔薇。軽い衝撃で粉々に砕けてしまう。私がそんなあなたに寄り添ってあげたい。謝らないといけない。でも、先に伝えたいことがある。あなたは私を憎んでいるかもしれない。元々、愛されていなかったのかもしれない。しかし、私は呟く。

「それでも抑えきれない、この気持ちを」

 どうだっていい! 愛は存在している! 絶対に私の中にある。誰にも犯すことはできない。もしそうなるのなら、私は舌を嚙み切って死ぬ。だって、私は彼を――、


 ――鎖が断ち切られた。解放感が体の内々から沸き上がった。横で古川が頓狂な声を上げ、そそくさと部屋を後にした。俺はじわっと涙が込みあがる。それは今までの冷たいものとは打って変わって温かいものだった。あぁ、難しいことなど何も無かった。答えとは俺と彼女そのものなのだ。しかし、無念であった。今にでも彼女に伝えたい。やっと胸を張って堂々と俺は言えるんだ。不自由な肉体が強く惜しまれる。君、どこで何をしているんだ? 君は笑えているかい? そうでなくても恙なくそれは叶いそうにあるよ。君に俺は愛の存在を信じさせられるのだ! 何しろ、俺が君をどう想っているかわかるかい?


 向かい風に怯むことなく、私は前へ突き進む。彼と抱擁を交わしたい。彼の体温をどうしても感じたい。あなたがいなければ、何に出会おうと私は不幸なまま。あなたと共に在ることが私の望み。これはどう表現すればいいの? そこで私は迷った。めくるめく記憶を辿る。すると彼からの手紙を思い出した。そうなの、これは至上の喜び! とても美しい言葉。私はそれを取り戻す。あなたと一緒に小説について語り合いたい。映画も観たい。様々なことを経験したい。肉を交わらせ、第三の人格を生む。あなたは受け入れてくれる?


 俺は外を食い入るように見つめた。もうじき私は到着する。私は最後に男と女は思った。今では二人を憐憫の目で見ることができる。二人はとても不幸だった。そう、不幸だった。すると、俺の方に二羽の鳥が向かってくる。どこかで見たことがあるような気がする。たしかそうだ、勘違いかもしれんがあの時公園でみた鳥だ。懐かしいな。そういえば、俺はまだ君に一度たりとも伝えていなかった。私はまだあなたに伝えていなかった。そう、ある一つの言葉。だが今なら迷うことなく言える気がするのだ。求めている、その時を。病院が見えてきた。病室は朧気ながら聞いている。もう許可を取る時間も煩わしい。不思議だ。なぜこうも期待感に包まれているのだ。何が俺をこうさせるのだ。私は駐車場を越え、入り口に急ぐ。俺は自然と病室のドアに向き直った。そして、院内に遂に入り、あなたの病室を目掛けた。後ろから夕陽が俺を強く照らしているのが分かる。喧噪の中を走り抜ける。俺も私も胸が高鳴っている。世界はとても素晴らしい。幸福に満ち溢れている。ねえ、私はあなたの病室の前にやってきた。あぁ、感じる。私は頬を紅潮させて扉に手をかけ、俺は爛々と輝いた目で待ち受ける。さぁ、私が扉を開き、そう! 俺と目が合った!

 俺と私は精一杯の声で、ありったけの情熱を込めて、


「愛してる!」

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