隣の席の瑠々亜ちゃんが愛おしすぎて死にそうなんです!

n:heichi

プロローグ

 高校生活、最高かよ。



 そう思ったのは、入学式が終わった後の自己紹介の時間だった。


「出席番号三番、天野哲哉あまのてつやでーす。趣味はサッカーでーす。よろでーす」


 出席番号十番の俺は、そろそろ緊張してきていた。

 隣の席の四番が立った時、一緒に立とうとしてしまったほどだ。



「出席番号四番の、あららぎるりゅ……蘭りゅ……あ、ありゃりゃぎ……」

蘭瑠々亜あららぎるるあさんですね」


 自分の名前を言うのに苦戦しているのを見かねた先生が代わりに言ってくれた。


 何この子、ちょっとかわいいかも。


「す、すみません。えっと、趣味は、えっと……」


 テンパりすぎて言うことを忘れてしまったらしい。けれども、なんとか絞り出したように言った。


「趣味は、楽しいことです」




 そりゃそうだろ!


「はい、座って良いですよ」


 先生も少し呆れたように言った。


「あ、はい」



 ガタン。


 ゴトン。


 バタン。




「イタタタタタ……」



 この時、俺は思った。



 瑠々亜ちゃん、愛おしすぎる!






「おはよう、蘭さん」

「あ、おはよう、北方きたがたくん」


 高校生活が始まってから、一ヶ月ほど立った。

 まだ瑠々亜ちゃんとは朝の挨拶くらいしか出来ていない。


 瑠々亜ちゃんが自分の席に座ろうとした。



 ガタン。


 ゴトン。


 バタン。




 クラスの皆の視線が瑠々亜ちゃんに集まる。


「イタタタタタ……」




 心の中で叫ばせてくれ。






 隣の席の瑠々亜ちゃんが愛おしすぎて死にそうなんです!



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