絶筆のカッター ―天才女子高生作家殺害事件―
居木井 丈晴
第1話 情事と死体
「私ね、女の子しか好きになれないの」
奥山の身長は171センチもあった。女子としては高すぎる
秋吉和美の唇は柔らかく、ほのかに温かかった。
「私は、今まで自分のことが許せなかった。
奥山は椅子に座った。秋吉はその
「私は
奥山は秋吉のブラウスのボタンに手をかけた。秋吉はいたずらっ子のように笑うとちょっと体を離した。そして、白い歯を見せながら、自分の指でおもむろに第一ボタンを外した。そして奥山の
「みんなそう。人は過ちを抱いて生きるの」
半年前、確かに彼女はそう言った。その言葉は宇宙の真理を照らし出したかのような不思議な魅力を持って、奥山の心を捉えた。
しかし、7月。
秋吉和美は殺された。
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