男女6人が語る漫画サークルのお話
ころころ
第1話 漫画サークルに入部 語り国村
趣味で漫画を描いてる人間に相応しいサークルといえばどこだろう。
サークル紹介のパンフレットを貰った僕は、それらしき所を逐一チェックしていた。
「漫画……漫画……漫研みたいなのがあれば……あ」
女の子のキャラクターが描いてあるカットを見つけ、見出しにこう書いてあった。
漫画愛好サークル 描きたい欲がある人は是非!
漫画「研究」ではなく漫画「愛好」を名乗ってるからには、それなりに期待してもいいのだろうか。
勧誘を退けながら目的の場所へ向かうことにした。
「こんにちわ~」
部室のドアを開けると、大人しそうな女の子が1人で座っていた。
「こんにちわ……」
「部員の方ですか?」
「いえ……今日来たばかりです……」
自分と同じ新入生のようだ。部員は勧誘で皆外に出ているのだろうか。
部室を見渡していると、いたるところに漫画で棚が埋め尽くされているのはさすがといったところか。
グッズやフィギュアも所狭しと置いてある。
机に置いてある冊子の束は部誌だろうか。見てみたいが……。
(勝手に見るのもなんだし、しばらくしたら誰か来るだろう)
空いてる席に座る。そのまま1分ほど沈黙をしていたが、何か話しかけた方がいいのかと思い声を掛けた。
「漫画描かれてるんですか?」
「そ……そうですね……大したものは描けませんが……」
「僕ノートに落書きみたいなものしか描いたことがないので……」
「わ、私も似たようなもんです……」
どういう漫画を描いてるのか聞こうとしたが、
「こんにちわ~!」
明るい声が入り中断された。声の主を見ると、金髪でハーフのような顔立ちをした男の子がいた。
「部員の方?」
「いや、僕もこの子も今日来たばかりで」
「ああそうなんだ……」
再びドアが開き、見ると左右非対称な髪型をした女の子がこちらを見ていた。
「あの~見学いいですか?」
「僕ら3人ともそんな感じだよ」
「あ、そうなの?」
「とりあえず座ってようか」
2人は椅子に腰掛け、キョロキョロ周りを見渡す。
「いかにも漫研って感じだねえ」
「ね~。でも、他のサブカル系の部室もチラっと見たけど、ここが一番綺麗な気がする」
「あはは!そうなんだ!」
「そうそう、他のところは物がそこら中に置いてていかにもって感じだったけど」
「あ!4人来てる!」
黒髮ロングで赤色のメガネをした女性が叫んで部室に入ってきた。その後ろから細い目をした男性が声を掛ける。
「ごめんね~待たせてしまって。もう少しで会長も来るから」
「やった!やった!よろしくねみんな!」
「三上さん気が早いよ」
三上さんと呼ばれた女性が、机に置いてあった冊子をババっと配る。
「これが今まで作った部誌なんだけど、大体学祭用とイベント用に年2回ほど漫画を描くの!」
中身を見てみるといかにもノリで描いたような作品もあれば、
プロかと思うほどレベルの高い作品もあり、へ~と思いながら見ていると
「お待たせ~、お、来てるね~」
恰幅のいい男性が部室に入ってきた。
「よし、じゃあそろそろ紹介といこうかな。僕が会長の商学部3年生野口健太です。
パンフレットにも書いたけどここのサークルは漫画を描くことを目的とした活動をしています。あまり漫画を描いたことがないという人もいるだろうけど僕たちがサポートしていくので安心してね。細かい説明は全員紹介してからでいいかな。じゃあ三上さん」
「はい!副会長の文学部2年生三上結子です!オリジナルも二次創作もバリバリこなしています!わからないことはなんでも聞いてね!」
「えーと、経営学部2年の坂下竜也です。なんだかんだでのらりくらりやってます。みんなで楽しくやっていきましょう!」
僕の方に紹介が回ってきた。
「えっと、経営学部1年生の国村渚です。高校の時に漫画を描き始めましたが、ノートに殴り書きのような漫画しか描いたことなかったので、大学に入ってからもう少し本格的な漫画を描きたいなと思い,このサークルに来ました。よろしくお願いします」
拍手が鳴り、時計回りに紹介が続く。
「え~商学部1年の神崎武志です。漫画は色々好きですが、特に『失われた巨人』のような漫画を描きたいと思い、ここに来ました。漫画どころか絵自体描き慣れていませんが、いじめないでください(周りから笑い声)よろしくお願いします」
「同じく商学部1年の高岡里依です。小さい頃から漫画を描いていて、大学でも活動できればなと思い来ました。和気藹々と楽しんで描けるように頑張ります。よろしくお願いします」
「……ぶ、文学部1年の五十嵐ゆうです……今までなんとなく漫画を描いてましたが……大学で漫画を描く人と交流出来ればなと思い参加させていただきました……よろしくお願いいたします……」
会長からイベントの話や部費の用途について説明を受け、記念撮影のあと新歓となった。好きな漫画や最近ハマったアニメ・ゲームの話で盛り上がり、
「桃色100%の主人公誰とくっつくと思う?」
「僕はタマちゃんかなと思うんだけど……」
「やっぱ小さい時からの繋がりがあるのはポイントだよなあ。でも最近りっちゃんもグイグイ攻めてきてるからなあ~」
「俺は断然やすはちゃんにくっついて欲しいっす!」
「やすはちゃんも可愛いからなあ~、気持ちはわかる!」
「いやいや、そこはイケメン委員長でしょ!」
「流石に天下一の少年誌にBL展開は……」
2次会はカラオケに赴き、怒涛のアニソンメドレーとなった。
「五十嵐さん、何か歌う?」
「う~ん、『新たな大陸を求めて』を……」
「渋い選曲だ……」
オールで夜明けとなり解散し、フラフラとなりながらアパートへ帰る。
押し付けすぎずダラっともしていないサークルの雰囲気が自分に合ってるかもしれない。そう思いながら爆睡し、長いような短いような1日が終わった。
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