あなたの線

のーみん

第1話︰カプセル

「堺さん非常に申し上げにくいのですが、肺癌のステージ4です。」

「え、、」

高校に上がってから体に違和感は感じていた。

時々病院に行った方がいいのかもしれないと思ったりもした。

しかし僕の場合、今まで殆どの事が大したこと無かったのだ。

今回もその類だろうと、放置した結果がこの有様である。

話を詳しく聞いたところ、殆ど体の全身に広がっているらしく腫瘍も心臓に近い場所にあり、今の医療技術ではどうしようもないと言っていた。余命はく半年ほどで、後1ヶ月ほどは動いていられるらしいので残りの人生を楽しんでほしいとの事。


「はぁぁ〜」

帰りの電車内で、僕は大きなため息をついていた。

実感が湧かないので涙は出てこなかったが、半年後に死ぬという現実は高2の自分にとってはとても信じることが出来ない。信じたくない事だった。

「母さんになんて言ったら..。」

自分が中学に上がった時に丁度親父が亡くなった。それ以来母さんが1人で育ててきてくれた。

窓の外を見ながら他にも色々考えた。


ガタンッ

「うおっ!?」

ーーーツッッ!!!

大きく揺れた電車の振動がじわじわと僕の体を痛みで蝕んでいく。

「半年後かぁ…。」

動いていられるのも一か月だけなんだよなぁ。

高校二年生なんて人生まだまだこれからじゃないか。

心残りだらけである。

「まだ彼女の一人も作れてないのに…。」

下を向いて落ち込んでいると、

コツンッと手のひらサイズの丸いカプセルが自分の足元に転がってきた。

見た感じガチャガチャの玩具とかではなく、何か大事そうな物が、それこそ婚約指輪などが入っていても特に違和感はないぐらいの見た目をしたカプセルである。

平日の昼のこの時間帯に人は数えるほどしかいなく、その中で唯一鞄を持っていた人がいたので、その人に返そうとしたのだが、、、

痛っtt

急に呼吸がしづらくなった。

癌の影響だろう。

しかもその男の人は今停車した駅で降りて行ってしまった。

仕方なく僕はそのカプセルを持って電車を降りた。急いでいるのか、中々早歩きだったので追いつくことが出来なかった。

それから約五分間、僕はその男を必死に追いかけた。

途中、薄暗い路地裏に入ったりしてようやく辿り着いたのがこの店。

【alter guide】だった。







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