教官・楠田 知恵の追懐
「うぅーん、今回のルーキーたちも無事に訓練終了かぁ。あっという間だったなー。次の新人入隊は、いつになることやらだ。」
知恵は、教官室で1人、巣立ち行くルーキーたちを偲び、デスクで大いにだらけていた。
知恵はスクワッド隊員としての能力とともに、教官としても非常に優れていた。
実際、現状在籍している若い隊員の殆どは知恵から教えを受けており、皆ポジティブに活躍中である。
だが現在、教え子たちに関する大きな悩みが、一つ。
「『フェーズ3』来たァァァァ!!
今度こそ俺だァァァァァァ!!」
「あ゛っ!基地内で異能使うのはズルいわよ一誠!ウチがやるって決めてンだから!!…ってこら待てぇ!!」
「フハハハハハハハハ!!今日活躍する予定なのはこの僕!四鳳院 醍醐なのだよ諸君!お先に失礼!!」
「あーあ…ヒマだし私も一応行くけどさ…どーせ水中戦にはならないよね…。
ワンチャン、海にでも移動してくんないかしら…。」
基地内の廊下が、台風でも起こったかのように荒れ狂い始めた。
そう。久しぶりの『フェーズ3』頻発により、多くのスクワッド隊員たち、中でも血気盛んな若者たちが、実力を発揮せんと競い合うようになり、現場にも混乱が生じているのである。
「またアイツらか…。人がアンニュイな気分に浸ってるって時に…ったくもう!」
4年ほど前、知恵が教官となった直後に入隊し、受け持った者。それが先ほど、廊下を慌しく駆け抜けて行った4名である。
実力は確かであるし、いざとなれば抜群の連携力を誇るのだが、知恵が教官として『ルーキー』である時の『ルーキー』。
「気持ちの部分」の訓練が足りず、精神的に幼さの残るチームであった。
登場順に紹介しておこう。
中条
19歳
コードネーム『サイレントデイライト』
異能 気配を消す『隠密特化・忍者』
原口
18歳
CN 『ラズベリーリップル』
異能 『超高速飛行』
四鳳院
19歳
CN 『ディバインゴライアス』
異能 『飛行・パワー型』
清水
19歳
CN 『アクアパール』
異能 『液体操作・それを利用した水中の活動』
「アイツらの時、私もまだ未熟だったからなぁ…。仕方ない、ちょっくら過去の自分と向き合って来ますかァ…。」
そうして知恵は首をゴキゴキと鳴らし、肩を二回しほどした後、ゆっくりと、基地内のとある施設に向け歩を進めるのであった。
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