LARGE NUMBER SQUAD
エルマー・ボストン
ラージナンバースクワッド、活動の記録
司令官・榊原 一茶子の苦悩
「げはハハハハハハァー!!
俺様もついに、『スカラー化』できたぜ!!
そうだな!『モヤシマン』とでも名乗るとするか?げはハハハハハハァー!!
お前ら!!邪魔すンじゃねェーーー!!」
スカラー線による、日本を中心とした、地球生物の変容が始まってから早50年。
一時期は凶悪な進化を遂げた悪の集団やら何やらが、人々の生活を脅かしていた。
だがそれも過去の話。
今やそんな集団もほんのひと握り。
せいぜい『スカラー化』を悪用して、小さな悪事を働こうとするチンピラくらいである。
大それたことを考えたり、悪どいことを実行するような連中はいなくなった。
そう。正義の戦隊
「ラージナンバースクワッド」がいるからである。
「榊原司令。総員、配置に着きました。」
実働部隊の名もなき隊長が、司令官、と呼ばれた女性に、報告の通信を入れた。
オフィス街の中心で、怪人騒ぎが発生。
通報を受け、すぐさま駆けつけた戦隊の一部隊が怪人と相対、全員で取り囲んでいる、まさにその瞬間であった。
「よし、撃て。」
その一声で、戦隊メンバー全員の銃口から、モヤシマン目掛けてビームが次々に発射される。
その数、総勢15名。
「ぐげアアアアアアアアァぁぁぁ!!」
モヤシマンはビームの斉射を一身に受けまくり、一瞬にして元の人間に戻った。
「司令、任務、完了いたしました。」
「ご苦労。すぐに帰投せよ。」
「了解。」
ラージナンバースクワッド。
スカラー線による『異能』が地球生物に現れ始めた途端、それを良からぬ方向に利用する者たちにより、
『異能犯罪』が激化の一途を辿った。
それに対抗すべく組織されたのが、この戦隊である。
だが、数年前に異能犯罪が落ち着いてからというもの、メンバーだけが増え続けた結果、
現在はめちゃくちゃヒマになってしまったのであった。
「(はぁ…これ別に、私じゃなくていいと思うんだよなぁ…。
『よし、撃て』って言うだけだもんな、仕事。もう、辞めたいなぁ…。)」
司令官・
増えすぎた人員と、少ない事件。
それなのに減らない仕事と責任。
一茶子の心は、すでに疲れ切っていた。
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